巨人・坂本の一発に見た創意工夫 下手投げの西武・与座対策の「ノーステップ打法」

[ 2023年6月17日 08:00 ]

15日の西武戦。3回、巨人・坂本は西武先発の与座からソロを放つ(撮影・西川祐介)
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 「ノーステップ打法」でエンゼルス・大谷が本塁打を重ねている。前足の足裏を上げ、かかとを地面につけるときに壁をつくる。その壁で腰の開きを抑え、バットを最短距離で出してインパクトの瞬間に規格外の力をボールに伝える。惚れ惚れするような技術だ。

 日本では、15日の巨人―西武戦で巨人・坂本が同様の高等技術を見せた。普段は左足を上げて膝下を前に伸ばしタメをつくる。上げた左足でタイミングを取り、着地させた瞬間にバットを振り抜く。

 だが、下手投げの西武・与座対策として「ノーステップ打法」を実践して本塁打した。低めの129キロ直球をすくい上げ左中間席に運んだ。かなり低い足下のボール球をどうやって本塁打したのか。

 アンダースローは低めのボールが多い。緩い球に泳がされて、多くの打者が苦戦して7回途中まで3安打に抑えられた。そこで

 <1>スタンスの幅を広く取る。これで普段より重心が投手寄りに向かう。

 <2>軸足で回転しながら、前の左足に体重を乗せて壁をつくった。

 <3>左足を上げる大きな動きが少ない分、目線がズレにくく軸を安定させた。緩い球にも泳がされることがなかった。

 坂本は「左足」の使い方を工夫して9号ソロを放った。

 過去には左足の「2度上げ」も見たことがある。左足を一度後ろに引き、ステップを踏んで、そこからもう一度足を上げて本塁打したのだ。自身の打撃の状態も考慮し、創意工夫をこらして安打を積み重ねている。(記者コラム・神田 佑)

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