巨人・中田1500安打 プロ16年目、プライド捨てて“ミスターの教え”胸に金G塔

[ 2023年6月15日 05:30 ]

交流戦   巨人7-1西武 ( 2023年6月14日    東京D )

 <巨・西>7回、中田翔は1500本目となる安打を放つ(撮影・西川 祐介)
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 巨人の中田翔内野手(34)が14日、西武戦でマルチ安打を記録し、プロ16年目で史上134人目となる通算1500安打を達成。3回に左前適時打でリーチをかけると、7回に二塁強襲安打を放って節目に到達した。チームは先発野手全員安打で4連勝を飾り、貯金を今季最多の3としてDeNAと並んで交流戦首位をキープ。14年以来、3度目となる頂点まで突き進む。

 節目の一打は中田翔らしい強烈な打球だった。3回に左前適時打で通算1500安打に王手をかけると、7回1死でティノコの158キロを強振。二塁・外崎のグラブをはじいた打球が中堅方向に転がった。スコアボードにともる「H」のランプ。自主トレをともにする愛弟子の秋広から記念ボードを受け取ると、スタンドのファンに向かって頭を下げた。

 「これまで積み上げてこられたのも監督をはじめ、チームメート、トレーナーさんなどスタッフ皆さんのおかげ。またファンの皆さんの声援があったからこそ達成できた記録」

 驚異的な回復力で交流戦期間での記録達成にこぎつけた。5月4日のヤクルト戦で右太腿裏を肉離れ。当初は歩くのも困難だったが、すぐに大阪を拠点とする専属トレーナーの秀島正芳氏(41)に連絡した。「自分には今しかない。10年も20年も野球をやれるわけじゃないから」と告げ、わざわざ大阪に出向き、2日間、集中してリハビリを実施。患部への負担軽減のため、股関節、膝、足首の可動域を出すことに終始した。その後も回復を早めるという高気圧酸素カプセルなども取り入れ、当初は復帰まで約8週間の見込みだったが、わずか3週間で戦列に復帰した。

 Gプライド。1月の沖縄・石垣島での自主トレで何度もつぶやいた言葉だ。日本ハム時代は不動の4番。「チーム打撃はやったことがない」と言う。不振でもスタメンが保証されていたが、21年8月に暴行問題を起こし、無償トレードで巨人に移籍。常勝を課された新天地では勝手が違った。昨季は不振で2度の2軍落ちを経験。「いろいろ変えなくては」と考えていたところ川崎市のジャイアンツ球場で長嶋茂雄終身名誉監督に「指1本短く持ってみなさい」と助言を受けた。長距離砲のプライドを捨て、左手の小指をグリップエンドから外して指1、2本分短く持つように修正。追い込まれると「相手が嫌がるような打撃」を心掛け、安打を重ねていった。

 中田翔は「1500安打は通過点。これからも積み上げていけるように」と前を向く。チームはDeNAと並んで交流戦首位。持ち前の長打に新天地でコンパクトな打撃も学んだ男が、14年以来9年ぶりの頂点へと導く。(花里 雄太)

 ≪平成生まれ4人目≫中田翔(巨)が14日西武戦の7回にティノコから二塁内野安打を放ち通算1500安打を達成した。

 プロ野球134人目。初安打は日本ハム時代の09年5月23日ヤクルト戦でバレットから。中田翔は平成元年(89年)4月22日生まれ。平成生まれの通算1500安打は浅村(楽)、丸(巨)、菊池(広)に次いで4人目。

 また、平成生まれでは未到の通算300本塁打にはあと4本に迫っている。

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