広島市民球場のカープ女子 明大野球部へ 萬谷天音マネジャーの夢は「日本一になりたい」

[ 2023年6月11日 13:15 ]

明大女子マネジャーの萬谷天音(撮影・大城 有生希)
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 大学日本一を決める全日本大学野球選手権は11日、神宮球場で決勝が行われる。昨年の明治神宮大会で優勝した明大(東京六大学)は青学大(東都大学)と激突する。今春のリーグ戦で明大野球部では2人目となる女子マネジャーとしてベンチ入りを果たした萬谷天音(あまね)さん(4年)は裏方として日本一を目指すチームに貢献する。

 広島県広島市出身。子供の頃から野球は身近にあった。萬谷さんは筋金入りのカープファン。老朽化で使用されなくなった08年までは広島市民球場に通い、名物のスクワット応援で声援を送った。広島なぎさで過ごした高校時代、放課後にはそのまま友達とマツダスタジアムへ行くこともあるほど熱烈なファンだった。中学から高校までの6年間はバスケットボールに励んだが、進学した明大では野球部のマネジャーに。「何かに一生懸命になる大学生活を送りたかった。野球が好きだったので、一番を目指す明治で頑張ってみたいと思いました」と大学野球に青春を燃やす日々を選んだ。

 大学野球のマネジャーの仕事は多岐にわたり、高いクオリティも必要とされる。ホームページやツイッター、インスタグラムなどを駆使して活動を周知する広報活動や大学や東京六大学野球連盟に提出する書類の作成、活動にかかる経理業務などを担当。野球部の事務室で作業をする時間も長く、当初は選手と接する時間も限られていたことから「チームのためになれているのかな」と不安に思うこともあったが、「選手から“ありがとう”と言葉をかけてもらったり、やっぱりチームが勝てた時に“力になれたのかな”って思えています」とチームと関わる時間とともにやりがいも増えていった。

 大学最終学年の4年生となり、後輩マネジャーを導いていく立場に変わった萬谷さんが晴れ舞台に立った。5月20日に行われた立大との1回戦に明大の女子マネジャーとしては2人目のベンチ入りを果たした。試合3日前、田中武宏監督から「スコアは書けるか」と打診された。ベンチ入りする記録員は投手の球数をカウントしたり、試合中に監督や選手とコミュニケーションを取る重要な「戦力」の1人。大役に指名され「自分のせいでミスが起こってはいけないなと思って、凄いプレッシャーでした」という。本番に備えて普段からベンチ入りしている森裕規主務(4年)がどんな動きをしているか、試合映像で研究した。その成果もあってか、当日の試合は1―0で勝利し「凄く嬉しかった」。選手の姿を一番近くで見守った忘れられない試合のウイニングボールは自宅に飾っている。

 選手の躍動、指導者、マネジャーらスタッフがワンチームとなり、全日本大学野球選手権の決勝までたどりついた明大野球部。「昨年は悔しい思いをしたので、先輩たちの思いも背負って日本一になりたい」。ライバルの東都リーグ王者・青学大との決戦。一丸となって立ち向かう。(記者コラム・柳内 遼平)

 ◇萬谷 天音(まんたに・あまね)2001年(平13)7月13日生まれ、広島県広島市出身の21歳。広島なぎさから明大に進学。2学年上の兄・萬谷魁は日本航空(山梨)を経て、日大でプレー。好きな選手はカブス・鈴木。座右の銘は「努力は裏切らない」。地元自慢は「お好み焼きがおいしい」

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2023年6月11日のニュース