大谷が違反とられた「ピッチクロック」とは 開幕戦は完璧に対応も一転…新ルール適応の難しさ

[ 2023年4月6日 09:31 ]

<マリナーズ・エンゼルス>初回、ベンチに引き揚げる際に審判と話す大谷(中央右)(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 エンゼルスの大谷翔平投手(28)が5日(日本時間6日)、敵地シアトルでのマリナーズ戦で「3番・投手兼DH」で先発出場。打っては2打数1安打1打点、投げては6回1失点で今季初勝利を挙げた。チームは4-3でマリナーズを下した。

 この日は今季から導入された新ルール「ピッチクロック」の違反を投打両方でとられる事態に見舞われた。初回に宣告され、イニング後にベンチへ戻る際、ネビン監督、水原通訳とともに球審に質問。

 同ルールでは、時間短縮のため、走者なしの場合には投手はボールを受け取ってから15秒以内に投球動作に入らなくてはいけない。大谷の場合は、まだ残り時間あったが、打者が構えてないうちにボールを投げようとしていたことがペナルティとみなされたようだ。球審から大谷らに対しても、打者が打席に完全に入ってからモーションに入ることが必要で、一度完全にモーションを止めてから投球するように説明があった。

 大谷はWBCでチームを長く離れていたが、3月30日(同31日)のアスレチックスとの開幕戦では6回無失点と好投。ピッチクロックに完璧に対応していた。5回終了後に球審から「打者がこっち(投手)を見てから(投げるように)」と指摘を受けるほど、テンポの良い投球だった。しかし、この日は一転、投打で違反した史上初の選手に。

 試合後にも大谷は自ら審判室へ質問に出向き「話した感じ、審判の方もグレーゾーンみたいな感じだったので…ルールが始まって間もないですし」「試験的になる部分もある。随時、ピッチャーもバッターも対応していくのはみんな同じなのでしょうがないかなと」と述べた。

 ちなみに、今季の開幕戦15試合では計14度のピッチクロック違反が起きた。第1号となったカブス・ストローマンは、ブルワーズ戦の3回無死二塁、イエリチを迎えた場面で宣告され、1ボール加わりカウント2―2となった。「時計も、投球も、走者も、握りも気にしなければいけない。適応は簡単ではない」と話した。レッドソックス・ディバースはオリオールズ戦の8回、カウント1―2から構えるのが遅れ1ストライク宣告され、ピッチクロック違反で三振した最初の打者となった。また、他の試合でも退場者が出るなど解釈や理解の相違をめぐって余波が広がっている。

 一方、本来の導入目的である試合時間の短縮について、3日にAP通信が伝えた所によると、開幕カードを終えた時点の平均試合時間が昨季3時間8分から2時間38分と30分も短縮された。またベースが大きくなり塁間の距離が縮まったことで盗塁数は2倍超となった。

 ▽今季からの主な新ルール
 ☆ピッチクロック 試合時間短縮のため導入。投手は捕手から球を受けてから、走者なしの場合は15秒、ありの場合は20秒以内に投球動作を始めないと1ボールが宣告される。また、打者は残り8秒までに打つ準備を整えなければ1ストライクが宣告される。

 ☆けん制球 投手による走者へのけん制球は1打席2球まで。3度目のけん制球でアウトにできなかった場合は、ボークとなり走者が進塁する。

 ☆極端なシフトの禁止 塁間に内野手を3人配する極端な守備シフトは禁止。守備側は内野に野手4人以上を置かねばならず、二塁ベースを境に2人ずつ左右に分かれなければならない。

 ☆拡大ベース 走者と捕球者の接触を減らすため、ベースの一辺が約7・6センチ大きくなった。その分、塁間が短くなり、盗塁数の増加も期待されている。

 ☆ピッチコム サイン盗み防止のため昨季導入されたバッテリー間のサイン伝達電子機器で、捕手からだけではなく、投手からもサインを送れるようになる。

 ☆インターリーグ 各チームが他全29球団と、最低でも一度は対戦するように変更された。

 ☆野手の登板 点差が離れた場面での野手の登板は、8点以上のビハインドか、10点以上リードした9回か、延長戦に限られる。

続きを表示

この記事のフォト

2023年4月6日のニュース