東尾修氏 全球種で勝負できる特長生かした 西武・隅田の大人な投球

[ 2022年3月27日 05:30 ]

パ・リーグ   西武5―0オリックス ( 2022年3月26日    ベルーナD )

<西・オ>山川(左)と並んでどすこいポーズを決めるプロ初勝利の隅田
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 【東尾修 視点】西武のドラフト1位左腕・隅田が球団新人では先発最速の開幕2戦目勝利。西武の元エースで監督も務めたスポニチ本紙評論家の東尾修氏(71)が、好投の要因を分析した。

 プロ初登板というのに、隅田は慌てるところが一つもなかった。驚いたのは初回先頭の福田の打席。投直を捕球した場面だ。投げることに必死でボールから目を切る投手が多い中で、投げ終わった後も目を離さずに打球を処理した。体のバランスがいいのもあるが、何より精神面をコントロールできていなければ、デビュー戦の最初の打者でこんな冷静な対応はできない。

 最大の強みはいろいろな球種でストライクがいつでも取れること。ノーワインドアップから力まず体全体で投げるので、制球も安定している。直球は150キロもあったが、平均143~146キロ前後。スライダー、フォークも低めに決まる。それに加えてカーブと120キロ台前半のチェンジアップという緩い球も自在に操っている。だから直球も球速以上に速く見え、打者は差し込まれる。

 吉田正に2つの四球を与えたが、いずれもフルカウントから内角への変化球。吉田正はまったくタイミングが合ってなかったし、球審の手が上がってもおかしくない球だった。左打者の吉田正から見ると隅田のフォームは、右肩で左手のボールの出るところを隠しているように見えて、とてもタイミングが取りづらい。隅田はそういう自分の特長、自分の良さをよく知っていて、思い描いた通りの投球をした。

 西武では菊池雄星以来、出現した左のエース候補。カーブなど緩い球を操るクレバーな投球は雄星よりも工藤公康に近いタイプかもしれない。

 一方、オリックスの先発・宮城は立ち上がり山川にボールをホームランされ、冷静さを欠き、自分の投球を見失ってしまった。

 昨年の新人王に投げ勝った隅田にはぜひ新人王を獲ってほしい。ローテーションを守れれば12、13勝は期待できると感じている。

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2022年3月27日のニュース