聖光学院 1点差惜敗も…荒牧、天国の友にささげた夏37人目の2打席連発

[ 2019年8月13日 09:10 ]

第101回全国高校野球選手権大会 2回戦   聖光学院2―3海星 ( 2019年8月12日    甲子園 )

<聖光学院・海星>9回1死、2打席連続のソロ本塁打を放ち、ガッツポーズの聖光学院・荒牧(撮影・北條 貴史)
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 13年連続16度目の出場の聖光学院は12日、海星(長崎)に2―3で惜敗し、初の2年連続初戦敗退となった。3番・荒牧樹(3年)が18年の愛工大名電・安井太規以来となる夏の大会史上37人目の2打席連続本塁打を放ったが、ベース踏み忘れの微妙な判定にも泣き、あと1点が奪えなかった。過去最高成績のベスト4入りは来年以降に託された。

 高い弾道がバックスクリーン左へと吸い込まれた。この日2本目の本塁打に荒牧は右手をスタンドへ掲げ聖地のダイヤモンドを駆け抜けた。

 「自分から突破口をつくっていこうと思っていたので、打てたのは良かった。ただ、いろんな方にお世話になった分、チームを日本一にできなくて悔しい」

 重苦しいムードを変えた。0―2の7回無死に公式戦初本塁打を左中間に放つと、9回1死には初球の真っすぐを叩いて大会史上37人目の2打席連発。「低めは見切って、真っすぐは詰まってもいい意識で待っていた」。1点差まで追い上げたが、追いつくことはできなかった。「結果を気にせずガツガツやるのが今年のテーマ。県大会から変わることなくやれた」。2年連続の初戦敗退にも、荒牧は前を向いた。

 天国のかつての同僚にささげる2発だった。小学生の時に東久留米選抜でともにプレーした八戸学院光星の吉川智行さんが昨年8月、脳腫瘍で亡くなった。いつも異なるチームだったが、中学まで一緒に練習した。「ともゆきのために」と練習用の帽子に書きつづり、試合用の帽子には写真を忍ばせた。

 慢性的な手首の痛みに加え、今年1月に腰を疲労骨折。月に1度注射を打ち、グラウンドに立つ。それでも「野球をできない人もいる。自分なんかちっぽけ」と白球を追った。勝てば次戦が八戸学院光星だっただけに「やりたかったです」と空を見上げた。

 微妙な判定に泣いた。3回、先頭打者の清水正義主将(3年)が左翼線に安打性の打球を放ち、二塁へ。だが、アピールプレーで一塁ベースを踏み忘れとされ、「レフトゴロ」の判定でアウトになった。「踏んだつもりだった」と清水は唇をかんだが、先制の好機を逃したのは痛かった。

 それでも、春には県内で3年ぶりに敗れながら、重圧に打ち勝って13年連続で聖地に立った聖光学院ナイン。「一つのプレーで決まるのが甲子園。練習を怠らないで頑張ってほしい」と荒牧は後輩に日本一を託した。絶対王者の不屈の精神は必ず受け継がれる。(近藤 大暉)

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