ダンベルショルダープレスはどこに効く?正しいフォームとやり方、角度や重量までとことん解説!
ダンベルショルダープレスは、肩の筋肉を集中的に鍛えるための定番の筋トレ種目です。肩を強化することで、上半身全体のバランスが向上し、他のトレーニングでも力を発揮しやすくなります。しかし、正しいフォームや適切な角度、重量設定ができていないと、効果が半減するだけでなく、肩を痛めるリスクもあります。
この記事では、ダンベルショルダープレスがどの筋肉に効くのか、そして正しいフォームとやり方、さらに初心者にもわかりやすい角度や重量の設定方法について、パーソナルトレーニングジムSTUDIO KOMPAS(スタジオコンパス)のトレーナー・山岸慎さんが解説します。
ダンベルショルダープレスで鍛えられる部位
ダンベルショルダープレスは、おもに肩の三角筋を鍛える効果的なエクササイズです。
三角筋は「前部・中部・後部」に分かれており、ショルダープレスではこれらの筋肉をバランスよく強化することができるのですが、とくに中部(三角筋中央部)を刺激します。
また、肩を安定させるためにローテーターカフ(肩の安定筋群)もサポートとして動きます。これにより、肩関節を保護しながら、安全に動作を行うことができます。
さらに、体幹部の筋肉も稼働します。正しい姿勢やダンベルを持ち上げる動きを安定させるためには、体幹の筋肉も必要です。
こんな外見(体型)になりたい人にオススメ!
ダンベルショルダープレスは、筋肉質な見た目を目指したい方に、とくにおすすめのエクササイズです。肩の丸みをつくり、幅を広げるなど、肩の形を整えるのに適しています。
肩のボリュームを増やすことにより、ウエストの細さを強調し、逆三角形の理想的な体型を作るのに役立ちます。
さらに、ダンベルショルダープレスは肩の筋肉だけでなく、体幹部の筋肉もサポートとして働くため、全体的な体の安定性やバランスを向上させる効果もあります。これにより、他の上半身のエクササイズのパフォーマンスも向上し、全身の筋肉のバランスが良くなります。
このように、ダンベルショルダープレスは、筋肉質な見た目を目指す方にとって、肩を強化し、全体的な体のプロポーションを改善するために非常に効果的なエクササイズです。
ダンベルショルダープレスの基本フォームとやり方
ダンベルの握り方
ベンチの角度
ダンベルショルダープレスを行う際のベンチの最適な角度は、75度から90度に設定するのが一般的です。
- 75度の角度
少し斜めにすることで、肩への負荷を維持しながらも、背中への圧力を軽減できます。この角度では、肩と体幹の安定性を確保しやすく、初心者にも取り組みやすい設定です。 - 90度の角度
完全に直立した状態でのショルダープレスは、肩の三角筋に最も直接的な負荷をかけることができます。より集中的に肩を鍛えたい場合や、上級者に向いています。ただし、背中へのサポートが少ないため、体幹部の筋力が必要です。
やり方
-
ベンチの設定とダンベル準備
ベンチの設定
ベンチを75〜90度に設定します。初心者や体幹のサポートが必要な方は75度、中級者以上は90度で設定するのが良いでしょう。
座るポジション
ダンベルを両手に持ち、ベンチに座ります。足を床にしっかりとつけて、安定した姿勢を取ります。背中はベンチにしっかりと押し付け、腹部を引き締めてコアを安定させます。
-
ダンベルを持ち上げて下ろす動作
1.ダンベルを肩の高さに持ち上げ、手のひらを前に向けます。肘はわずかに曲げた状態で、ダンベルを耳の高さで保持します。
2.息を吐きながら、ダンベルを頭の上に向かって押し上げます。このとき、肘を完全に伸ばしますが、首が過度にすくまないように意識し、前鋸筋の活動を感じながら動作を行います。
3.息を吸いながら、ゆっくりとダンベルを元の位置に戻します。動作をコントロールし、肩に負担がかからないように注意します。
動作のポイント
- 腹部の力を抜かない
腹部の力を抜かないようにすることが非常に重要です。コアをしっかりと引き締め、背中を安定させることで、腰への負担を減らし、正しいフォームを維持できます。
- 腰が反らないようにする
ダンベルを上げた際に腰が反るようであれば、ベンチの角度を緩やかに設定し直してください。腰が過度に反ると、腰に負担がかかりやすくなります。 - 前鋸筋(ぜんきょきん)を意識する
ダンベルを持ち上げる際、肘を伸ばす動作で首がすくまないように注意しましょう。肩の安定性を高めることができます。
ダンベルショルダープレスの重量と回数
筋肥大目的の場合
5~8回ギリギリ持ち上げることができる重量で、3〜5セット行いましょう。
筋持久力を上げたい場合
12~15回できる重量で、3〜5セット行いましょう。
ベンチの角度で効果は異なる?
ベンチの角度を調整することで、ショルダープレスで鍛えられる部位に変化が生じます。
とくに、ベンチの角度が45度以上になると、肩まわりの筋肉への負荷が大きく変わり、三角筋に対する効果がより顕著になります。
45度以上の角度
45~75度の角度では、上部胸筋と、とくに三角筋の前部と中部が使われます。この角度は、肩と胸筋に刺激を与えるバランスの良いポジションです。
45〜60度
肩と上部胸筋の両方をバランスよく鍛えることができます。初心者にとっても比較的扱いやすい角度です。
75度
ほぼ直立に近い角度で、三角筋に対する負荷が最大になります。肩の丸みを作りたい場合や、肩の筋力を集中的に強化したい場合に最適です。ただし、広背筋や肩甲骨の柔軟性が求められます。
90度
90度の完全に直立した状態では、肩にもっとも負荷がかかります。この角度では、三角筋に加えて、僧帽筋や肩甲骨周辺の筋肉も使われます。
最大の難易度であり、体幹の安定性や肩の柔軟性が不足していると、動作に制限が生じたり、腰が反ることによって怪我のリスクが高まります。
ベンチの角度を浅くしたほうがいい場合とは
肩や背中まわりの筋肉に硬さがあり、動きにくい場合
ショルダープレスのようなオーバーヘッド動作では、肩甲骨の正しい動作と広背筋の柔軟性、そして腹部の安定力が非常に重要です。これらのいずれかに問題があると、肩の動作が制限され、効率的なトレーニングが難しくなります。
そうならないよう、肩や背中まわりの筋肉に硬さがあり、動かしにくい人はベンチを浅くしましょう。
腰が反ってしまう場合
腕を上げる際に腰が反ってしまう場合も、ベンチの角度を浅く設定することが適切です。
角度を浅くすることで、体幹をより安定させた状態でトレーニングを行うことができ、腰にかかる負担を減らすことができます。
正しいフォームを維持することで、肩や腰に対する怪我のリスクを減らしながら、効果的なトレーニングが可能になります。
ダンベルとバーベル、どっちで行うのがいい?いっそマシンを使うのがイイ?
ダンベル、バーベル、そしてマシン。それぞれ安定性や筋肉の動員が異なります。
ダンベルとバーベルの違い
安定感の違い
ダンベルはバーベルに比べて安定性が低く、手で重量をコントロールする必要があります。このため、ダンベルを使用する際には、安定させるために肩や前腕をはじめ多くの筋肉が使われます。
一方、バーベルはダンベルに比べて安定性が高く、両手で一つのバーを握るため、体幹部の安定性が強く求められます。この安定性のおかげで、バーベルはダンベルよりも高重量を扱いやすく、最大筋力を高めるトレーニングに適しています。
両方使うとベスト
ダンベルとバーベルを両方使用することで、特定の筋肉を集中的に鍛えると同時に、安定筋を強化することができます。
バーベルで高重量を扱い、筋力を向上させ、ダンベルでバランスと安定性を養うことで、全体的にバランスの取れたトレーニングを行うことが可能です。
マシントレーニングの最大の特徴は「軌道の固定」
マシンはダンベルやバーベルとは異なり、動作の軌道が固定されています。このため、安定感は非常に高く、筋肉に対する負荷が一定ですので、初心者やリハビリ目的にオススメです。
しかし、軌道が固定されているがゆえに、安定させるために必要な筋肉の動員が少なくなります。特定の筋肉を集中して鍛える場合にはいいのですが、全身の安定性やバランスは向上しにくいでしょう。
- 初心者やリハビリ目的・・・マシントレーニング
- バランスや安定性を向上させたい場合や、より自由な動作を求める場合・・・ダンベルやバーベルを使ったトレーニング
片手で行うと、どんなメリットがある?
片手で行うダンベルショルダープレスには、両手で行う場合とは異なる多くのメリットがあります。
片手で行うダンベルショルダープレスのメリット
片手でダンベルショルダープレスを行うと、体幹部の筋肉がより多く使われるため、コアの強化や体全体の安定性が向上します。また、バランス感覚や身体のしなやかさが向上します。
デメリットとしては、体幹の安定性を保つために多くの力が必要になるため、使用できる重量が両手で行う場合に比べて低くなる傾向があります。
このため、使用重量が低下すると、対象となる筋肉(主に三角筋)への負荷も減少し、筋肥大を狙う場合には効果が低下する可能性があります。
目的に応じて片手と両手のエクササイズを適切に使い分けるとよいでしょう。
立って行う? 座ってやる?ベンチなしだと効果は違う
ダンベルショルダープレスを立位と座位で行う場合、いくつかの重要な違いがあります。
体重を支える面積(支持基底面)の違い
まず、支持基底面に着目すると、立位と座位で大きな違いが見られます。
座位: ベンチに座って行う場合、 体重を支える面積が広く、安定性が高くなります。ベンチが体をサポートするため体幹が固定され、重量を扱いやすくなるため、初心者やフォームを確認したいときに適しています。
立位: 立って行う場合、 体重を支える面積が狭くなり、安定性が低くなります。体全体でバランスを保つ必要があり、下半身の安定性も求められるため、より多くの筋肉が動員され、全身のトレーニングとしても効果的です。
関節の動き(運動連鎖)の違い
また、一部の関節が動くことで、離れた関節にも影響が及ぶ「運動連鎖」にも違いが見られます。
座位: 座位では、ベンチによって体幹がサポートされているため、関節の動きが肩や肘などの上半身に集中します。そのため、より集中的に肩や上半身を鍛えることが可能です。
立位: 立位では、足の裏から肩、指先まで広範囲の関節が使われるため、体幹や脚の筋肉も同時に強化され、全体的な体力やバランス感覚の向上に繋がります。ただしトレーニングの難易度は高まります。
安定性を重視したい場合や、肩の筋肉に集中してトレーニングしたい場合は座位を、全身を使ったより高い難易度のトレーニングを行いたい場合は立位がおすすめです。
監修者プロフィール
トレーナー山岸 慎
2011年からトレーナーとして、モデル・アーティスト・俳優のサポートを行う。現在はJリーガーなどトップアスリートをはじめ、運動初心者まで様々な身体レベルの方のトレーニング指導を行なっている。所有資格NSCA-CSCS
・パーソナルトレーニングジム STUDIO KOMPAS渋谷南平台
・ストレッチリラクゼーションサロン ESL(エッセンシャル ストレッチ ラボ)
<Edit:編集部>
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