背中にはどんな筋肉がある?背中の筋肉の構成、部位別のトレメニューを紹介

[ 2024年8月10日 09:00 ]

「背中の筋肉、ちゃんと鍛えてる?」

筋トレというと腹筋や腕などを鍛えたい!と思う人が多いと思います。背中は見えにくい部分なので、ついつい疎かにしてしまいますよね。

背中の筋肉が弱くなると姿勢が悪くなっていくだけではなく、肩こりや腰痛を引き起こしたり、内臓が圧迫されて消化不良や呼吸機能の低下、循環器系に悪影響を及ぼすこともあります。

今回は背中の筋肉の構造や役割、誰でも簡単にできる背中の筋トレ方法についても詳しく解説していきます。わざわざジムに行かなくても家でできるトレーニング方法も紹介していますので、忙しい方も今日からスタートできますよ。

理想のボディに近づくためにも、引き締まった背中をゲットしましょう!

背中の筋肉の主な役割

背中の筋肉は、姿勢の維持、上半身の安定化、肩甲骨の動きのサポート、呼吸の補助、脊柱の保護、上半身の引き動作、回旋動作の補助など、多くの重要な役割を果たしています。これらの筋肉を強化することで、全体的な体の機能が向上し、日常生活やスポーツにおいてより良いパフォーマンスを発揮することができます。

背中の筋肉の構造

背中には約50以上の筋肉が存在し、それぞれが複雑に絡み合って機能しています。その中でも重要な役割を担い、大きな面積を占める3つの筋肉について解説していきます。

僧帽筋(そうぼうきん)

位置:僧帽筋は首の後ろから肩、そして背中の上部にかけて広がっています。
形状:菱形に近い形をしており、上部、中部、下部に分かれています。

▼役割

上部僧帽筋:肩甲骨を上に引き上げる動作(肩をすくめる動作)に関与します。また、首を後ろに反らせる動作や、側屈させる動作もサポートします。

中部僧帽筋:肩甲骨を内側に引き寄せる動作(肩甲骨を寄せる動作)を助けます。これにより、背中を真っ直ぐに保つことができます。

下部僧帽筋:肩甲骨を下に引き下げる動作をサポートします。

広背筋(こうはいきん)

位置:背中の下部から中部にかけて広がる大きな筋肉で、腰のあたりから肩の下部にかけて付着しています。
形状:扇形に広がっており、非常に大きな面積を持っています。

▼役割

腕を引く動作:腕を体側に引き寄せる、後ろに引く動作に関与します。これにより、懸垂や引き寄せ動作が可能になります。

内旋動作:腕を内側に回す動作を助けます。物を抱え込む動作などをスムーズにしてくれます。

伸展動作:腕を後ろに伸ばす動作をサポートします。水泳のクロールなどの動作には特に役立ちます。

脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)

位置:脊柱起立筋は脊柱の両側に沿って走る長い筋肉群で、骨盤から頭部まで広がっています。
形状:脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、背骨の両側にある腸肋筋(ちょうろくきん)、最長筋(さいちょうきん)、棘筋(きょくきん)の3つの筋肉の総称で、一般的には背筋とも呼ばれます。

▼役割

姿勢維持:脊柱起立筋は、脊柱をまっすぐに保ち、正しい姿勢を維持する役割を果たします。

背中の伸展:背中を後ろに反らせる動作を助けます。これにより、背筋を伸ばす動作が可能になります。

側屈動作:体を側方に曲げる動作をサポートします。体を左右に傾ける動作がスムーズに可能になります。

回旋動作:体を回旋させる動作にも関与し、体をひねる動作をサポートします。

背中の筋肉はなぜ鍛えにくい?効果的な鍛え方とは

背中の筋肉を鍛えることによって得られるメリット

ここからは背中の筋肉を鍛えることによって、どんなメリットが得られるのか紹介していきます。

姿勢の改善

背中の筋肉、とくに脊柱起立筋や僧帽筋を鍛えることで、背骨を正しい位置に保つ力が強化され、猫背や前かがみの姿勢を改善することができます。良い姿勢は見た目の印象を良くするだけでなく、圧迫されていた内臓が正常に機能するようになる可能性もあります。

僧帽筋や菱形筋を鍛えることで、猫背だけでなく巻き肩の予防改善にも寄与します。猫背であると肩こりも同時に起こりやすいため、肩こりの改善も見込めます。

体幹の安定

背中の筋肉は体幹の一部であり、体の安定性を保つ役割を果たしています。これにより、スポーツや日常の動作においてバランスが良くなり、怪我のリスクが減少します。

歩行時にも脊柱起立筋は働いており上半身の安定、目線のブレ、ふらつきを抑える役割を持っています。ふらつきが少なくなることで、寝たきりの要因でもある転倒のリスクも抑えることができるでしょう。

腰痛の予防・改善

背中の筋肉を強化することで、腰椎への負担が軽減されます。特にデスクワークなどで長時間座っている人にとっては、背中の筋力が不足すると腰痛の原因となることが多いため、背中を鍛えることは腰痛の予防や改善できる可能性があります。

運動能力の向上

背中の筋肉は多くの運動において重要な役割を果たしています。例えば、スポーツでのパフォーマンス向上や、日常生活では物の持ち上げなどが楽にできるようになります。

上記にあるように歩行の手助けもしています。

基礎代謝の向上

筋肉量が増えることで基礎代謝が向上します。背中の筋肉は大きな筋群であるため、鍛えることで筋肉量を増やし、結果的にカロリー消費が増えることから、体脂肪の減少や体重管理にも効果があります。

見た目の改善

広背筋や僧帽筋を鍛えることで、背中全体が引き締まります。体の厚みが薄くなり、全体的な体のプロポーションが良くなります。

身体の厚みですが、広背筋、僧帽筋を鍛えると矢状面から見た場合は厚みが増し、前額面から見た場合は引き締まっている見た目になります。なので、男性にとっては身体の厚みはでき、逆三角形の上半身を作ることができます。女性にとっては広背筋を鍛えることで上半身が引き締まるので、くびれができてきます。また、猫背や巻き肩を無くすことで上半身が上に起き上がる為、胸も大きく見えるようになります。

ストレスの軽減

運動全般にはストレスを軽減する効果がありますが、背中の筋肉を鍛えることもその一環です。トレーニング中にエンドルフィンが分泌され、気分が良くなることが多いです。また、姿勢が良くなることで自信がつき、精神的にも前向きになれます。

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部位別!おすすめのトレーニング方法

ここからは、おすすめのトレーニング方法を部位別に紹介していきます。さらにジムに通っている人向けのメニューと家でできるメニューに分けて紹介するので、ご自身に合ったやり方で試してみてください。

■ジムでトレーニングができる場合

デッドリフト

おもに鍛えられる筋肉

脊柱起立筋、広背筋、僧帽筋
※今回の背中の筋肉とは異なりますが、デッドリフトを行うことで上記以外にも、大臀筋やハムストリングスにも効果があります。

やり方

1.足を肩幅に開き、バーベルを前に置きます。細かいことになると思いますが、バーベルを前に置き、足を肩幅に開きます。の順番の方が実施する時の過程として合っていると思います。

2.バーベルを肩幅程度で握り、膝を軽く曲げて腰を下ろします。こちらも上記と一緒で、膝を軽く曲げて腰を下ろし、バーベルを肩幅程度で握ります。の方が良いかと思います。

3.背中をまっすぐに保ち、胸を張って視線を前方に向けます。

4.脚と腰を使ってバーベルを持ち上げ、腰を伸ばします。バーベルを持ち上げる際は身体に添わせて持ち上げましょう。身体から離れてしまうと腰への負担が大きくなり、腰を痛めてしまう可能性があります。

5.バーベルが膝を過ぎたら、背中を反らせずに立ち上がります。

6.ゆっくりとバーベルを床に戻します。

ラットプルダウン

おもに鍛えられる筋肉

広背筋、僧帽筋、菱形筋、三角筋後部、大円筋、小円筋、上腕二頭筋

やり方

1.ラットプルダウンマシンに座り、バーを肩幅より少し広めに握ります。

2.胸を張り、背筋をまっすぐに保ちます。

3.肩甲骨を引き寄せるようにして、バーを胸の上部に引き下ろします。肩甲骨は引き寄せるというよりも下方へ下ろしていく動きです。

4.肘を下に引きながら、広背筋を意識して動かします。

肘は骨盤に向かって引くイメージがいいです。

5.ゆっくりと元の位置に戻します。

ベンチプレス

おもに鍛えられる筋肉

僧帽筋、広背筋、脊柱起立筋(補助筋として)

鍛えられるメインの筋肉は大胸筋、小胸筋、前鋸筋など、身体前面の筋肉です。こちらを鍛えすぎてしまうと今回の記事内容である背中の筋肉が常に伸ばされることになり、鍛えてもなかなか筋肉が追いついて来ない場合があるため、回数や過剰な負荷がかかっていないかなども気をつけることが大事です。

やり方

1.ベンチに仰向けに寝て、バーベルを肩幅程度で握ります。バーベルの握り幅は肩幅よりやや広めに握ります。

2.足をしっかりと床に置き、背中を軽く反らせます。

3.バーベルをラックから外し、胸の上にゆっくりと下ろします。

4.胸を張り、肘を90度に曲げます。肘を90度に曲げるというよりは、前腕が地面と垂直になるようにします。

5.バーベルを真上に押し上げ、肘を伸ばします。バーベルが肩関節の真上にくるように持ち上げます。

6.再度ゆっくりと胸に下ろします。

フェイスプル

おもに鍛えられる筋肉

僧帽筋、菱形筋、三角筋後部

やり方

1.ケーブルマシンにロープアタッチメントをセットします。

2.ロープを肩の高さで握り、足を肩幅に開きます。

3.背中をまっすぐに保ち、ロープを顔に向けて引き寄せます。

4.肩甲骨を寄せるようにし、肘を外側に広げます。少し動作としては難しいですが、肘を外側に広げながら、肩の外旋(腕を上に上げる動き)をさせ、手は頭の横(こめかみ)に引いてきます。

5.広背筋と菱形筋を意識して動かします。肘だけを引いてきたり、肩より下げたりしない、上体を反らないようにしましょう。

6.ゆっくりとロープを元の位置に戻します。

■自宅・自重でトレーニングをおこなう場合

プッシュアップ(腕立て伏せ)

おもに鍛えられる筋肉

僧帽筋、広背筋、三角筋

やり方

1.床にうつ伏せになり、手を肩幅よりやや広めに置きます。

2.体をまっすぐに保ち、肘を曲げて胸を床に近づけます。

3.胸と背中の筋肉を意識して動かします。

4.肘を伸ばして体を元の位置に戻します。

腕立て伏せで大胸筋を育てる!パンパンになるまで効かせるプッシュアップチャレンジ(8分)

ダンベルロウ

おもに鍛えられる筋肉

広背筋、僧帽筋、菱形筋

やり方

1.片手でダンベルを持ち、反対側の手と膝をベンチや椅子に置きます。また細かいことで申し訳ないのですが、手と膝をベンチや椅子に置き、反対側の手でダンベルを持ちます。の順序の方が実施手順に合っています。

2.背中をまっすぐに保ち、ダンベルを腰に向かって引き上げます。

3.肩甲骨を寄せるようにし、広背筋を意識して動かします。肩甲骨を寄せるように動かしてしまうと僧帽筋の方がメインで鍛えられてしまうため、広背筋を効率よく鍛えるならば、肘で弧を描くように持ち上げるようにすると良いです。

4.ゆっくりとダンベルを元の位置に戻します。

プルアップ(懸垂)

おもに鍛えられる筋肉

広背筋、僧帽筋、上腕二頭筋

やり方

1.懸垂バーを肩幅より広めに握ります。鍛える筋肉の部位によって握り幅が変わります。広背筋メインであれば広めの握り、上腕二頭筋であれば狭めの握りになります。

2.体をまっすぐに保ち、背中を反らせないようにします。

3.胸を張り、肩甲骨を寄せながら実施するとより効果があります。

4.肘を曲げて体を持ち上げ、顎がバーを超えるまで引き上げます。

5.顎がバーを超えるまででも、いいのですが胸をバーに近づけるイメージを持った方がより広背筋を意識して実施できます。広背筋を意識して動かします。

6.ゆっくりと体を元の位置に戻します。

トレーニングで意識すべき5つのこと

トレーニングの種類や表面的なやり方だけを覚えても正しく筋肉はつきませんし、逆にケガをしてしまうことも考えられます。以下の5つの意識すべきことを実践して、正しく筋肉をつけていきましょう。

正しいフォームを維持する

重要性

正しいフォームを保つことは、ターゲットとなる筋肉に効果的に負荷をかけるために重要です。また、怪我を防ぐためにも必要です。

具体例

デッドリフトやローイング系のトレーニングでは、背中をまっすぐに保ち、腰を反らせないようにすることが大切です。動作中に鏡を使って自分のフォームをチェックするのも有効です。

肩甲骨の動きを意識する

重要性

背中の筋肉を最大限に活用するためには、肩甲骨の動きを意識することが必要です。肩甲骨を寄せることで、広背筋や僧帽筋がより効果的に働きます。

具体例

ラットプルダウンやシーテッドローでは、肩甲骨を引き寄せて寄せる動作を強調し、動作の終わりに肩甲骨をしっかりと寄せるようにします。

ゆっくりとしたコントロールされた動作

重要性

トレーニングをゆっくりと行うことで、筋肉にかかるテンションを長く維持し、より効果的に筋肉を鍛えることができます。

具体例

ダンベルロウやプルアップでは、上げるときも下ろすときもコントロールした動作を心がけ、勢いで動作を行わないようにします。

十分なストレッチとウォームアップ

重要性

トレーニング前のウォームアップとストレッチは、筋肉を温めて柔軟性を高め、怪我を防ぐために重要です。

具体例

トレーニング前にキャットカウストレッチや軽いカーディオを行い、背中の筋肉をしっかりと準備します。

トレーニング前のウォームアップはかなり重要です。ただ、気をつけたいのは、ウォームアップの種類です。動的ストレッチ例えばキャットカウストレッチや今回の背中の筋肉ならばショルダープレスなどは、筋肉の柔軟性に加え関節の可動性を高めるため運動前に行うと良いでしょう。逆に静的ストレッチは運動パフォーマンスが落ちるため運動前にはお勧めしません。運動後のクールダウンとして実施することで回復を早める効果が期待できます。

バランスの取れたトレーニングプログラム

重要性

背中の筋肉だけでなく、体全体をバランスよく鍛えることが重要です。バランスの取れたトレーニングプログラムを組むことで、体全体の機能が向上し、姿勢や安定性も改善されます。

具体例

週に2〜3回の背中のトレーニングを計画し、他の部位のトレーニングと組み合わせて行います。例えば、胸、脚、肩などのトレーニングも取り入れることで、全身の筋肉を均等に発達させます。

トレーニングプログラムを作成した後も随時見直しは必要です。今の自分の筋肉量に合っているトレーニングなのか、負荷や強度はこのままでいいのか、増やすのか減らすのか、また、目的や目標が変わってきたならばそれに伴ったプログラムの変更をしないと、筋肉の発達の向上はやがて止まり、停滞もしくは低下が生じてきます。

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背中の筋肉は直接見るができないので鍛えにくいパーツになりますが、継続することで確実に効果が現れ、姿勢の改善や運動能力の向上など、少しずつ効果を実感できるようになってくるはずです。

自分のペースで無理なく進めながら、理想の体型と健康的な生活を手に入れましょう。

監修者プロフィール

姿勢調整師
江幡直輝

大学在学時から姿勢調整師として活動
東京、神奈川の4店舗の開院責任者。
臨床安全評価技術審査会 優秀者賞取得

<EDIT:MELOS編集部>

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