千代の国「歩けなくなるまで好きなことをやらせてもらえて幸せ者」不撓不屈の17年間…涙の断髪式

[ 2024年6月8日 18:40 ]

<千代の国引退佐ノ山襲名披露断髪式>師匠の九重親方(左)に止めばさみを入れてもらう千代の国(撮影・前川 晋作)
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 昨年名古屋場所限りで現役を引退した大相撲の元幕内・千代の国(佐ノ山親方、33=九重部屋)の断髪式が8日、東京・両国国技館で行われた。初土俵が1場所違いの元小結・松鳳山の松谷裕也氏や、親交のある歌手・SEAMOら多数の著名人が出席。最後は師匠の九重親方(元大関・千代大海)が止めばさみを入れ、大銀杏(おおいちょう)に別れを告げた。

 止めばさみの直前、司会の刈谷富士雄氏によるナレーションで千代の国の17年間が振り返られ、クライマックスを迎えた。「度重なる大ケガ、2度に渡る奇跡の復活劇。幕内から三段目に陥落してから幕内復帰。そこから幕下へ陥落してから再び幕内復帰。不撓不屈を体現した千代の国の土俵人生」。土俵上の千代の国、そして土俵に上がる九重親方も涙を流していた。

 千代の国は「泣くことは予定になかったけどこらえ切れなかったですね。感謝の気持ちでいっぱいでした」と涙の理由を明かした。両膝のケガで引退を決断した昨年の今頃は1日に5分も歩くことができない状態だったという。「部屋の環境や親方の理解、妻の理解があった、歩けなくなるまで自分の好きなことをやらせてもらえたので幸せ者だなと思います。九重部屋でよかったなと本当に思います」。不撓不屈の17年間を支えた、周囲の方々へ感謝の気持ちを述べた。

 この日「最後の取組」で相手役を務めることがかなわなかった、Netflixの配信ドラマ「サンクチュアリ―聖域―」に出演した俳優としても知られる兄の澤田賢澄(元幕下・千代の眞)についても言及。4月下旬から脳幹出血で入院しており意識不明の状態が続いていたが、最近は目を開けて声掛けに反応できるようになったという。「必死で懸命に生活しています。しゃべっている内容は理解しているので、6月8日に断髪式やるというと目を開いて呼吸が荒くなるんです。いろいろしゃべり掛けたら泣くんですよ」。兄の病状を明かし「家族が倒れてしまったことが純粋に不安」と神妙な面持ちで話した。

 ◇千代の国 憲輝(ちよのくに・としき)本名=澤田憲輝。1990年(平2)7月10日生まれ、三重県伊賀市出身の33歳。中学卒業後に九重部屋に入門し、06年夏場所で初土俵。11年名古屋場所で新十両。12年初場所で新入幕。その後は両膝、踵、肩、三角筋など度重なるケガに苦しんだ。それでも不屈の闘志で、幕下以下への転落からの幕内返り咲きを2度も成し遂げた。十両だった23年夏場所「両膝半月板損傷、左変形性膝関節症」で途中休場。翌名古屋場所で幕下に転落し、休場したのちに引退を発表した。幕内在位34場所。敢闘賞2回。金星1個。十両優勝3回。幕内成績199勝216敗95休。通算成績539勝452敗180休。

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