飛び込み 玉井陸斗 涙のパリ五輪切符 5本目にぎっくり腰発症も「やりきるしかないと」

[ 2023年7月22日 04:40 ]

水泳世界選手権第8日 ( 2023年7月21日    福岡 )

寺内に迎えられ、涙を浮かべながら笑う玉井(右)
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 男子高飛び込み準決勝は、前回大会銀メダルの玉井陸斗(16=JSS宝塚)が腰痛を押して出場して427・70点で7位通過。上位12人による22日の決勝に進み、パリ五輪代表に事実上決まった。決勝で演技すれば日本水連の定める条件をクリアして内定する。女子3メートル板飛び込み決勝の三上紗也可(22=日体大)は7位。アーティスティックスイミング(AS)のチーム・フリールーティン(FR)の日本は銀メダル。ASで日本のメダルは今大会7個目で、最多だった昨年のブダペスト大会に並んだ。

 いつも笑顔の玉井が珍しく泣いた。2大会連続の五輪切符を手中に収め「ホッとした気持ちが強い。腰が痛すぎて…。最後はやりきるしかないと思って飛んだ」と目を真っ赤にした。3日前の練習前のウオーミングアップで古傷の腰痛が再発。痛みを抱えたまま本番を迎え、予選1本目が10メートル台からの4日ぶりのダイブだった。何とか12位通過すると、約2時間半後の準決勝でさらに悪化した。

 5本目の入水時に、ぎっくり腰を発症。演技が安定せず、11位で最終6本目を迎えた。失敗すれば敗退もある状況で5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)を飛び、この日の自身最高タイ86・40点をマーク。「最後が5255で良かった。毎回助けられる」と技に感謝した。競技人生を考えれば決勝を棄権する選択肢もあるが、1本目を飛び順位がつかなければ、五輪代表には内定しない。玉井は「できる限りのことはやらないといけない。頑張りたい」と声を絞り出した。

 ≪三上、表彰台逃す≫女子3メートル板飛び込み決勝で、準決勝を3位通過した三上の表彰台はならなかった。2本目を終えて首位に立ったが3本目で入水が乱れて4位に後退。4本目は女子では世界で数人しかできない大技5154B(前宙返り2回半2回ひねりえび型)を繰り出したが、入水が乱れて得点は伸びなかった。前回大会と同じ7位に終わったが、決勝で演技して順位がついたことでパリ五輪代表に内定。その五輪本番を見据え「何が足りないんだろう」と涙し「技術もメンタルも全部上げたい」と絞り出した。

 ≪佐藤陽体調不良、AS混合を棄権≫ASで、混合デュエットの佐藤友花、佐藤陽太郎組(ジョイフルアスレティックク)が21日のFR予選を棄権した。日本水連によると、佐藤陽の体調不良のため。佐藤きょうだいは今大会のテクニカルルーティン(TR)で優勝。昨年の前回大会では2種目とも銀メダルだった。佐藤陽はチームや男子ソロなど6度の演技を行っていた。

 ≪2位に喜び爆発≫チームFRで全ての技が事前申告通りと認める高得点が表示されると日本の8人は喜びを爆発させた。今大会最後の五輪種目でも表彰台に立ち、来夏のパリ五輪へ手応えをつかんだ。FRのテーマは昨年に続き「チェス」。各選手がチェスの駒をイメージして移動し、前にいる選手が後ろにいる選手の頭を持って動かす独特な振り付けで視線を集めた。優勝した中国には技の難易率で劣ったが、芸術点は全体トップだった。

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