米女子アメフトに俊足の日本人選手誕生 WNFC挑戦の吉田未央が目指す「獲得ヤード1位」

[ 2023年3月15日 06:00 ]

吉田未央
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 女子アメリカンフットボール選手の吉田未央(27)が、4月1日に米国で開幕するWNFC(米国女子アメリカンフットボールカンファレンス)に参戦する。北海道留萌市出身のウイングバックは、昨季2位のユタ・ファルコンズを16チームの頂点に導く活躍を思い描く。

 1メートル59、57キロの吉田の武器は40ヤード走5秒1の俊足だ。世界中から集う選手たちは体格が大きく、身長1メートル80、体重100キロ超えも珍しくない。想定される相手DFの激しい当たりも「それが醍醐味(だいごみ)。日本には大きな選手はいないので、ワクワクする」と笑い飛ばす。

 念願の舞台にようやくたどり着いた。一昨年秋のトライアウトでユタとテキサスの2チームに合格したが、ビザの関係で契約できなかった。昨夏、両チームが争ったプレーオフ決勝を現地で観戦し「この中でプレーしたい」と8000人が集まったスタジアムで思いを新たにした。その場でユタと交渉し、今季の契約を勝ち取った。

 アメリカンフットボールと出合ったのは東京の専門学校時代。スポーツトレーナーを目指してXリーグの東京ガスで2年間実習して楽しさを覚えた。「自分でやった方が面白い」と卒業後に東京の女子チームに入った。

 当時の女子チームは東京と大阪に1つずつあったものの、人数が少なくて、試合はできなかった。グアムで行われた交流戦で初めて試合を経験して「これがアメフトか」と感動。「本場のトップリーグでやってみたい」と勤めていたジムを退職した。ちょうど19年にWNFCが発足するタイミングだった。

 トライアウト挑戦準備に3年間を費やした。愛知の自動車関連会社で働きながら、お金をため、英語を勉強し、練習を積んだ。21年秋のトライアウトでは40ヤード走でトップの成績を残した。00年から米国でプレーして19年に殿堂入りした鈴木弘子氏(58)らに続いて、日本から海を渡ることとなった。

 ビザの関係で今季は無給。渡米費用や3カ月のシーズン中の生活費も自費だ。それでも今月末の渡米が楽しみで仕方ない。「相手との距離の取り方、空間を見つけるのは得意。チームの優勝と個人では獲得ヤード1位を目指したい」と目を輝かせた。
(石川 加奈子)

 ◇吉田 未央(よしだ・みお)1995年(平7)9月18日生まれ、北海道留萌市出身の27歳。留萌東光小時代は少年野球とスノーホッケー、留萌中と留萌高時代はバスケットボールの選手だった。高校卒業後に東京のスポーツトレーナー専門学校に進学。昨年10月から札幌を拠点にしている。1メートル59、57キロ。

 ○…吉田は札幌市の総合型地域スポーツクラブ「サフィルヴァ」のスポーツエージェント第1号選手だ。同クラブの豊川大地理事長(37)は「凄いことをやっているのに、あまり知られていない選手のお手伝いをしたい」と世界で戦う選手の営業活動や契約などのサポートを始めた経緯を語る。得た費用の一部は、子供たちのスポーツ環境の向上に使用。「北海道から世界で戦う選手が増えてほしい」と願いを込めた。

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