堀川桃香 国内最高でV 内定取り消し乗り越え「最高の1年」スピードスケート全日本選手権女子5000M

[ 2022年12月30日 13:04 ]

スピードスケート全日本選手権最終日   女子5000メートル ( 2022年12月30日    YSアリーナ八戸 )

<第90回全日本スピードスケート選手権最終日>女子5000メートル、滑走する堀川(撮影・会津 智海)
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 W杯後半戦の代表選考会を兼ねて行われ、女子5000メートルは堀川桃香(19=富士急行)が7分1秒52で優勝した。自己ベストを5秒40上回り、押切美沙紀(30)の保持した国内最高記録を2秒79更新。女子3000メートルとの2冠を達成し「目標より大幅に速かったので、すごくびっくりしました」と笑顔が弾けた。

 5000メートルは昨年10月の全日本距離別選手権で初めて滑り、今回が7回目のレース。約1年2カ月でタイムを20秒以上伸ばした。W杯前半戦は疲労から絶不調に陥り、約2週間前のW杯第4戦(カナダ・カルガリー)では標高1060メートルの高速リンクにもかかわらず、7分14秒84と撃沈。帰国後に腰が曲がるなど崩れていたフォームを修正して今大会を迎えた。29日の女子3000メートルで高木美帆(28=日体大職)に国内で7年ぶりに土をつけて優勝。「3000メートルで自信がつき、強い気持ちでいけたのが良かった」と振り返った。

 2月の北京五輪は女子5000メートルで10位。今春には入社予定だった日本電産サンキョーが廃部となり、事前連絡のないまま進路を失った。その後、富士急行に入社が内定。激動の一年だったが「五輪から始まって、いい終わり方ができた。最高の一年でした」とうなずいた。レース直後には祖父に電話で優勝を報告し「じいちゃんはスケートが大好き。(3000メートルで優勝した)昨日も泣いていたので、1番に電話しました」と説明。国内最高記録の報酬金5万円を贈られ「家族で焼き肉を食べに行くので、たまには自分で出してみたい」と笑った。

 女子5000メートルの北京五輪の銅メダルタイムは6分50秒09。まだ世界との距離はあるが、現在の成長曲線を考えれば94年リレハンメル五輪で銅メダルを獲得した山本宏美以来となる日本女子長距離種目の五輪表彰台も決して夢物語ではない。「今のタイムで足元には及ぶようになったと思う。徐々にタイムを伸ばして世界で勝てる選手になりたい。自分が長距離を引っ張る覚悟で頑張りたい」。19歳の長距離スペシャリストは無限の可能性を秘めている。

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