宝富士 恩師にささげた勝ち越し、近大・伊東勝人元監督の命日に2年連続白星

[ 2022年1月19日 05:30 ]

大相撲初場所10日目 ( 2022年1月18日    両国国技館 )

一山本(左)を攻め押し出しで下す宝富士(撮影・久冨木 修)       
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 平幕・宝富士が一山本を押し出し、10日目で勝ち越しを決めた。2年前、55歳で亡くなった母校・近大の伊東勝人元監督の命日に2年連続の吉報を届けた。優勝争いは、関脇・御嶽海が北勝富士に押し出されて全勝が消滅。横綱・照ノ富士と2人が1敗で並び、宝富士と阿炎が2敗で追っている。

 宝富士は強い思いで土俵へ上がった。同郷で高校大学も同じ、近大の伊東元監督の三回忌。一山本の突っ張りを胸ではじき、一歩として後退しなかった。

 たまらず引いたところを待ち構えたように前進した。「慌てないよう、どっしり自分の相撲が取れた。勝ち越しもかかっていた。絶対に今日決めようと思っていた」。昨年初優勝した大栄翔に初めて土をつけた9日目に続く、2年連続の白星となった。

 「父親のような存在」と語る恩師には左四つの基礎を学んだ。差し手の返し方を習得するため、無意識にまわしをつかまないように左手にテープを巻いて特訓した。青森・五所川原商時代、左半身で守勢になりがちな取り口を攻撃的に変えるため、右腕の使い方も教わった。

 「それが今に生きているし、感謝している」。取組前には「いい報告ができるように力を貸してください」と心中で語り掛け、一山本戦に臨んだという。

 昨年秋場所、同学年の妙義龍が11勝を挙げ、千秋楽まで照ノ富士との優勝争いに加わった。賜杯には届かなかったが技能賞に輝き、8年ぶりの三賞を獲得した。

 「妙義龍関や玉鷲関の活躍が刺激になっている」。自身は16年名古屋場所、10勝を挙げて敢闘賞を手にして以来5年半、三賞受賞がない。同時に、2桁勝利も同期間達成できていない。「気を抜くといつもと一緒。より気を引き締めて臨みたい」。勝負師らしからぬ穏やかな物腰の34歳は、残り5日間の土俵で新境地を切り開きにいく。

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