止まらない日南振徳 初出場ベスト4 大活躍の甲斐「1試合でこんなに打ったのは初めて」

[ 2022年1月8日 05:30 ]

バレーボール全日本高校選手権男子準々決勝   日南振徳2ー1足利大付 ( 2022年1月7日    東京体育館 )

スパイクを決め笑顔をみせる日南振徳の甲斐(1)
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 初出場で4強入りを決めた。日南振徳の“甲斐キャノン”がさく裂した。2メートルの長身を誇るミドルブロッカー・甲斐のアタックが次々とコートに突き刺さった。

 まず3回戦。昨年の春高バレーと高校総体(インターハイ)で準優勝の強豪・駿台学園(東京)にフルセットで勝った。1セット目を先行され「自分が決めるしかないと思った」と腹をくくりセッター・高橋優斗(3年)にトスをもっと高くするように要求した。高橋が「徐々にボール2、3球くらい高くした」というトスに合わせ、相手の高いブロックのさらに上から打ち抜く強打を連発。高さの駿台学園を高さで粉砕した。

 甲斐は「1試合でこんなに打ったのは初めて」と照れ笑い。高橋は「上げたら絶対に決めてくれるので安心してトスを託せる」と信頼を口にした。

 足利大付との準々決勝でも1セット目を落とすスタート。しかし、甲斐の決定力を軸に2セットを連取した。インターハイ4強が実力だったことを証明し「センターコートが決まってとてもうれしい」とはにかんだ。

 中学までほぼ無名選手だった甲斐は、入学時に1メートル85だった身長が昨年のコロナ自粛中に「ずっと寝ていた」ことで急激に伸びた。身長の成長に右膝や左膝が追い付かず痛めてしまい、2年だった一昨年12月から昨年の5月までの約半年は、練習ができなかった。

 高校総体後はスクワットなど下半身の強化に取り組み、最高到達点も約20センチアップ。現在は3メートル53と高校生離れした高さとなり「打つ瞬間にブロックを見られる」と上から叩くだけではなく、冷静にコースも見極めている。

 見えない力も宿っている。父・晃宏さんが大腸がんのため1年半前に死去した。9人制の元実業団選手だった父に小2で教えてもらったことがバレーを始めたきっかけだった。「ブロックの上にトスが上がったら上から打て」と言われた言葉を覚えている。「それができて良かった」とほっとした表情を浮かべた。

 一戦ごとに注目度も上がっている。「自分を見てくれる人が増えると楽しい」と歓迎。鍋倉雄次郎監督も「驚いている人が多いと思うが、このくらいはできると思っていたし、まだまだこんなものじゃない」と話す。今日の準決勝は高校総体準々決勝で負けた鎮西だ。2試合連続で逆転勝ちした疲労はあるが「目標は優勝。疲れを吹き飛ばすくらい暴れたい」と力強い。リベンジを狙い、センターコートでも甲斐キャノンが火を噴く。 (村田 有子)

 ◇甲斐 優斗(かい・まさと)2003年(平15)9月25日生まれ、宮崎県延岡市出身の18歳。小2の時、父・晃宏さんが教える延岡南バレーボールクラブで競技を始める。延岡南中から日南振徳。小中はレフト、高校からミドルブロッカー。2メートル、70キロ。利き腕は右。最高到達点は3メートル53。

 ▽日南振徳(にちなんしんとく) 2009年に開校した県立高校。所在地は宮崎県日南市大字板敷410。日南振徳商、日南農林、日南工の3校を統合・再編。バレー部は昨夏の高校総体で初出場しベスト8入り。春高バレーは宮崎県で5連覇中だった都城工を破って初の代表切符をつかんだ。ヨット部も強豪。

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