船木和喜氏 小林陵侑のぶれない飛躍生み出す両腕の動き “一級の飛行機として完成”

[ 2022年1月8日 05:30 ]

ノルディックスキーW杯ジャンプ男子個人第13戦兼ジャンプ週間最終戦 ( 2022年1月6日    オーストリア・ビショフスホーフェン ヒルサイズ=HS142メートル )

ジャンプ週間で2度目の総合優勝を果たした小林陵(AP)
Photo By AP

 【船木和喜の解説】ジャンプ週間4連勝とはならなかったが、陵侑の充実ぶりは素晴らしい。今季、特に注目しているのは空中での両腕の動きだ。陵侑の特長の一つは空中での体とスキーの距離感で、空気抵抗を受けにくい角度を保てることなのだが、これを可能にするのが両腕の仕事。空中ではさまざまな方向からの風を受けるため、飛距離に直結する直進性や方向性がぶれるものだが、陵侑は両腕の動きでバランスを取るため、ぶれない。飛距離を生む主翼をスキー板、方向を制御する尾翼を両腕とすると、一級の飛行機として完成しているといえる。

 もう一つ挙げたいのは助走路での尻の位置。他の選手に比べ高いため、踏み切り時に立ち上がる動きが小さい。動きが小さければ受ける抵抗は少なくなる。生み出すパワーも減るが、筋力でカバーできている。以上の特長を安定して発揮しているのが今季の陵侑で、ジャンプ週間で最も特徴の異なるインスブルック→ビショフスホーフェンと連続して予選1位となったことがそれを証明した。誰も未経験の北京五輪のジャンプ台、陵侑にとって問題にならないと考える理由もそこにある。(98年長野五輪スキージャンプ2冠)

続きを表示

2022年1月8日のニュース