札幌山の手“モンゴリアン・キャッチ”1勝 リーチ先輩が発掘のダバジャブ花園デビュー

[ 2021年12月29日 05:30 ]

第101回全国高校ラグビー大会1回戦   札幌山の手36-10黒沢尻北 ( 2021年12月28日    花園 )

<札幌山の手・黒沢尻北> 後半29分、トライを決めた石崎(左端)をねぎらう札幌山の手・ダバジャブ(撮影・大森 寛明)
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 日本代表前主将のリーチ・マイケル(33=BL東京)が発掘した“モンゴルの原石”が花園デビューを果たした。札幌山の手(南北海道)の留学生ロック、ダバジャブ・ノロブサマブー(2年)が黒沢尻北(岩手)戦の後半27分から出場。わずか3分のプレーながら、36―10で初戦突破したチームの中でスケールの大きさを見せつけた。初出場の専大玉名(熊本)が初勝利を挙げる一方、伝統校の秋田工が1回戦で敗退する波乱があった。

 トライまで50センチ。札幌山の手のダバジャブは「惜しかった」と笑った。後半27分から出場。最初のプレーのラインアウトでボールを確保し、ゴールラインに迫った。自身の突進はわずかに届かなかったが、連続攻撃でのダメ押しトライを演出。「花園の最初の試合で第1グラウンド。むっちゃ気持ち良かった」と振り返った。

 19年W杯で日本代表の主将を務めたリーチ・マイケルに導かれて聖地に立った。リーチを筆頭に多くのニュージーランド人留学生を受け入れてきた同校でも初となるモンゴル人留学生。昨年11月、コロナ禍による入国制限で予定より7カ月遅れて来日した。費用は全額、リーチが札幌山の手の留学生のために出資した「マイケル基金」から出ており「ありがとうございます、といつも思っている」と話す。

 高校から来日して日本でトップ選手に成長したリーチは今、同じ道を行く後進の発掘に力を注ぐ。中でもラグビーが盛んとはいえないアジアでの競技普及が夢で、モンゴルは大相撲力士の活躍にヒントを得た。19年、W杯前の多忙を縫って足を運び、トライアウトでダバジャブを選抜。ラグビー歴は3年(当時)と短いが、6歳からのレスリング経験で頑丈な体と手のひらの大きさに目を留めた。

 佐藤幹夫監督は「体幹は部員で一番強い。日本語を覚えてきたのも大きい」と1年間の成長を評価した。リーチが基金を設けたのは、物心ともに支えてもらった佐藤監督への恩返しでもある。今年度で定年の佐藤監督が過去の出場19回で果たせていない大会2勝へ、リーチの“贈り物”があす30日の大阪桐蔭戦でも力を振るう。

 ◇ダバジャブ・ノロブサマブー 2003年7月25日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の18歳。6歳でレスリングを始め、15歳からラグビー。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で来日が11月まで遅れながらも花園のメンバー入り。1メートル86、89キロ。

 ▽花園と留学生 1994年度に仙台育英のニュージーランド出身、ニールソンが留学生選手として初めて花園に出場した。06年に日本国籍を取得し、今大会の1回戦(27日)に母校の監督として初勝利を挙げた。99年度には、後に日本代表になるトンガ人留学生、ホラニ龍コリニアシを擁した埼玉工大深谷(現正智深谷)が準優勝。留学生はトンガ、ニュージーランドが多くラグビーの強化が進んでいないアジアからは珍しい。

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