永久シード男の片山が過去4勝の得意コースで好位置キープ

[ 2021年11月5日 18:20 ]

スタートの10番でティーショットを放つ片山晋呉
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 男子ゴルフのマイナビABC選手権(賞金総額1億5000万円、優勝賞金3000万円)は5日、兵庫県加東市のABCGC(7217ヤード、パー72)で第2ラウンドを行った。

 首位に2打差の4位からスタートしたプロ27年目の超ベテラン・片山晋呉(48=イーグルポイントGC)が4バーディー、2ボギーの70をマークし、首位とは2打差の通算7アンダー、7位と2017年ISPSハンダマッチプレー選手権以来のツアー通算32勝目へ好位置を維持している。ツアー2勝目を目指す香妻陣一朗(27=国際スポーツ振興協会)と米国のトッド・ペク(30)が通算9アンダーで首位を並走。ツアー2勝の薗田峻輔(32=フリー)ら4人が首位と1打差の通算8アンダー、3位グループにいる。

 「とってもいいと思う。昨日も今日も。ここは飛ぶだけじゃね。グリーンも速いし、ピンの位置も難しい。経験と技術が要るから」

 過去4勝を挙げている得意コース。2005、2006年には大会連覇を果たしている。コースのことは隅々まで熟知している。

 体が思うように反応しなかった序盤の11、12番で立て続けにバンカーにつかまるピンチを迎えたが、いずれも技ありのショットで1メートルに寄せてパーセーブ。すると続く13番パー4(382ヤード)では120ヤードの第2打をPSでピン側80センチに運んでこの日最初のバーディー。その後、一進一退のゴルフが続いたが、最終9番パー4(424ヤード)では180ヤードの第2打を6Uでピン手前1メートルにつけてバーディーフィニッシュ。賞金シードを保持する“現役”では最多となるツアー通算31勝の実力者があらためてその存在感を示した。

 大親友のプロ野球・松坂大輔投手(41)が今季限りでの現役引退を表明。親交のあるアスリートが次々に第一線を去って行く中、同世代の新庄剛志氏(49)の日本ハム監督就任に大きな刺激を受けた。「就任会見、全部見ちゃいましたよ。いいですよね」。プロ野球界の常識を覆す新庄流のど派手なパフォーマンスはゴルフ界においては片山の専売特許でもある。ウイニングパットを決めた直後に「本日の主役」と書かれた金色のタスキを掛けて話題を呼んだこともある。そうした行為が批判を受けたこともあったが、それも片山流のゴルフ界盛り上げ策。今もクロコダイル風に型押しされた一点物の派手なキャディーバッグなどにプロゴルファー・片山の見せる姿勢は反映されている。

 パフォーマンスも独特ならそのゴルフスタイルも片山ならでは。片山のクラブセッティングは1W、4W、7W、4U、6U、7I~PW、ウェッジは48、51、56、60度の4本。ロングショットはできるだけやさしく、その分、120ヤード以内のショートゲームに重きを置いた構成になっている。パワーゴルフ全盛の今、女子プロゴルフ界でさえ滅多に見ることのできない独特のセッティングだ。

 今季の賞金ランキングは44位。尾崎将司の持つ32季連続の賞金シード獲得はまだ、遠いが、予選ラウンドを同組でプレーした藤田寛之(51=葛城GC)とともに1997年から保持してきた歴代2位の24季連続賞金シード獲得は確実にしている。

 「全然気にしてないですね。賞金ランクのことは。(賞金シード陥落は)自然とそうなってくるもんだし、それはいつか自分にも来るし。もうそこまで自分を追い込む必要はないしね。これからはコースも絞ってやっていきますよ」

 片山が初めて賞金王のタイトルを獲得した2000年シーズンのドライビングディスタンスは269・78ヤードで全体49位。あれから21年。46インチの長尺シャフトを使用した今季のドライビングディスタンスは279・03ヤードに伸びたが、逆に同部門の順位は71位に後退した。経験と技が存分に発揮できる得意コースで台頭著しい若手にひと泡。残り2日間。通算勝利数で尾崎直道に並ぶ歴代4位の通算32勝目を目指す。

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2021年11月5日のニュース