フェンシング・徳南堅太 史上初の屋外決勝で全日本3度目の頂点へ「その場を楽しんだもの勝ち」

[ 2021年11月4日 10:00 ]

徳南堅太インタビュー(下)~3年ぶり3度目の日本一へ~

スポニチアネックスのオンラインインタビューに応じた徳南堅太
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 今月6日、第74回全日本フェンシング選手権の男子サーブル決勝に出場する徳南堅太(34=デロイトトーマツコンサルティング)がスポニチアネックスのオンラインインタビューに応じた。2018年以来3年ぶり3度目の同大会優勝に向けて意気込みを語った。

 ――全日本選手権の準々決勝では五輪代表キャプテンの島村智博選手に勝利しました。試合後には島村選手が引退宣言しましたがそのあたりも含めて試合を振り返ってもらえますか?
 「僕と島村キャプテンが国内大会で対戦すると勝率が僕の方が悪かったんです。これで対戦することが最後になるかもしれないと思って、最大の敬意を払って全力で倒しにいきました。その結果、僕の調子も悪くなかったので、持ち味を最大に出しながら勝負できたかなと思います」

 ――これが最後の対戦になるかもしれないと思っていたんですね。
 「はい。自分も試合後の囲み取材で島村キャプテンが引退することを知りました。年齢を重ねるとオリンピックなどの節目や各フェーズで身を引かれたりする方も多いです。島村キャプテンがいつ引退するかなどは聞いてませんでした。今までナショナルチームで一緒に戦って来てサーブルチームのキャプテンとして引っ張ってくれたので、試合が終わってから引退のことを聞いて名残惜しさもありました。引退後は警視庁で指導者として従事するということなので、フェンシングから一切離れることはないですし、今後もいろんな大会で顔を合わせることはあると思います。選手としては最後ということだったので全力で戦うことが最大の敬意だと思っているので僕は良い試合が出来たと思っています」

 ――決勝は五輪でもチームメートだった吉田健人選手との対戦です。相手にはどんな印象を持っていますか?
 「フィジカルが物凄く高いです。そして足首や関節が硬いです。柔軟の方がいいというイメージを持たれると思うんですけど、硬いとしっかり床を蹴れたりしてそれがフィジカルの強さやスピードにもつながります。そして一緒に練習する仲でもあります」

 ――決勝進出が決まっても一緒に練習をしているんですね。
 「でもお互い決勝に向けて手の内を隠しながらという感じではないんですけど、本番は調子の良し悪しもあります。会場も六本木ヒルズアリーナと野外会場なので天候もどうなるかわかりません。いろんなイレギュラーなことが起こると思います。オリンピックは無観客でしたが、今回は久々に有観客で大会なので当日の雰囲気に飲まれたり、逆に雰囲気を味方につけたりすることが勝敗を分けると思います」

 ――2018年以来3度目の優勝がかかりますがどんな試合を見せて優勝したいですか?
 「オリンピックが終わってからそこまで期間が空いてない中での開催となります。フェンシングはエペを中心に注目されています。なので、まずは来場される皆さんそしてABEMAでの生配信があると聞いているので、『フェンシングって面白いな』という印象を持ってもらいたいです」

 ――注目度が上がっているからこそフェンシングの魅力を伝えたいんですね。
 「フェンシングに興味を持って見てくださっている皆さんに勝ち負けや一生懸命戦っている姿を見せるのもいいんですけど、僕はそれだけでは足りないと思っています。スポーツはエンタメでもあると思っています。魅せすぎて負けてしまうのは本末転倒なんですけど、余裕がある中で見てもらう方にパフォーマンスも含めて楽しんでもらいたいです。フェンシングのルールもそうですけど、キャラクターだったり振る舞いも含めて楽しんでもらえればと思いますし、そこを意識して僕は今大会に臨みます」

 ――決勝の舞台は六本木ヒルズアリーナと屋外会場です。
 「屋外会場というのは初めてトライです。フェンシング業界全体として太田(雄貴)前会長から武井(壮)新会長に引き継いだ中で“太田イズム“を継承して新たなことをやっていこうということでいろんなことをやっています。フェンシングは室内競技ではあるんですが、屋外でも出来るという証明だったり、成功するかしないかわからないですけどどんな感じになるかチャレンジの部分もあります。僕らも盛り上げる一員になれればいいかなと思っています」

 ――屋外会場で不安な部分はないですか?
 「僕は楽しみな方が大きいです。屋外会場でいろんな不安な部分もあるかもしれませんが、その場を楽しんだもの勝ちかなと思っています。パフォーマンスも含めて注目してもらえればと思います」

 ――決勝に向けて意気込みをお願いします。
 「今後どうなるかわからないので、もしかしたら今回で最後の大会になるかもしれません。僕が15歳でフェンシングに出合って約19年間フェンシングを続けてきた集大成を決勝のピスト上で最大限に表現出来たらと思っています。フェンシングの魅力を少しでも多くの方に伝わるように優勝を狙って頑張りたいと思います」

 ◇徳南 堅太(とくなん・けんた)1987年(昭62)08月17日生まれ、福井出身の34歳。デロイトトーマツコンサルティング所属。16年リオ、20年東京五輪と2大会連続で五輪に出場した。“サーブルケンタウロス”のキャッチコピーを持ち、全日本フェンシング選手権・男子サーブル決勝で2018年以来3年ぶり3度目の日本一を狙う。

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