ゴールボール女子・欠端“魔球”で銅導いた 元大洋投手の父・光則氏に「メダル獲ったと伝えたい」

[ 2021年9月4日 05:30 ]

東京パラリンピック第11日・ゴールボール   日本6-1ブラジル ( 2021年9月3日    幕張メッセCホール )

銅メダルを獲得し、国旗を手に場内を1周する日本代表チームの(左から)浦田、若杉、欠端、萩原、天摩、市川監督(撮影・木村 揚輔)
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 ゴールボール女子3位決定戦で日本がブラジルに6―1で勝ち、銅メダルを獲得した。プロ野球の大洋(現DeNA)などで57勝を挙げるなど、投手として活躍した光則氏(58)を父に持つ欠端瑛子(28=セガサミー)が決勝点を含む3得点で2大会ぶりの表彰台に貢献した。

 日本を表彰台に導いたのは、欠端だった。前半2分に左サイドへ沈める先制点を挙げ、その2分後には右隅へ。4―0の同12分には3点目で主導権を握り、前日のトルコ戦で狙われた守備でも出場22分間を無失点に抑えた。「自分のボールで得点を取るぞという強い気持ちでやった。勝てると信じていた」。試合終了と同時に、両手を突き上げ、喜びの涙を流した。

 元プロ野球投手の父・光則氏の決め球がフォークなら、欠端の武器は遠心力を使って鈴の音を消す「回転投げ」だ。代表では誰もできなかったが、今大会に向けて必死に準備してきた。かつて「魔球を投げろ」と父から助言を受けた。磨き上げた必殺技が大一番でさく裂し、欠端は「“メダル獲ったよ。勝って終われたよ”と父に伝えたい」と照れ笑いだった。

 先天性白皮症による弱視。幼い頃は家で遊んでいたが、高校でゴールボールに出合った。恵まれた体格や運動神経の良さに気づき、自分に自信を持てた。自宅にボールを持って帰り、父と2人で投げて練習した時もある。「投げてみたら、そんな簡単なものじゃなかった」。そう振り返る光則氏は「本人が好きになって闘争心が出てきた。うれしく思い、応援してあげようと思った」と娘の成長を語った。

 ロンドン大会で金メダルを獲得したが、当時は主力ではなかった。今大会は頂点に導けなかったが、主力としてチームを表彰台に連れて行けた。「メダルを持ち帰れてうれしい。次のパラリンピックの舞台に立ちたい」。もっと強くなって、夢舞台に帰ってくる。

 ◇欠端 瑛子(かけはた・えいこ)1993年(平5)2月19日生まれ、横浜市出身の28歳。横浜市立盲特別支援学校高等部2年の時に大会メンバーが足りずに誘われ、ゴールボールを始める。横浜美術大を経て15年セガサミー入社。金メダルの12年ロンドン大会、5位の16年リオデジャネイロ大会とも代表メンバー。ポジションはレフト。1メートル65、66キロ。右利き。

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