国際クラシファイア、日本パラ陸連理事・指宿立氏「優れた競技者が勝つ」原則にクラス分け

[ 2021年9月4日 05:30 ]

国際クラシファイアとしてパラスポーツを支える指宿氏(左)
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 【支える人(11)】競技の公平性を保つために障がいの程度や種類によって区分するクラス分けは、パラリンピックの根幹をなす部分。クラス分けを判定する専門員は「国際クラシファイア」と呼ばれ、有資格者の一人である日本パラ陸連理事の指宿立(たつる)氏(56)は「障がいの重い、軽いではなく、技術や戦術、精神力などが優れた競技者が勝利するべきという考えが基本原則」と強調する。

 大会で行われるクラス分けは、医学とスポーツ技術の視点から主に機能障がい、視覚障がい、知的障がいの3つのカテゴリーに分類される。大会前の面談、筋力や関節可動域など身体機能の測定、競技中の観察評価を経て試合後に確定。クラス変更で選手の境遇は一変するだけに、判定員は重要な役目を担う。

 理学療法士の指宿氏は学生時代の実習で障がい者とスポーツを体験する機会があり、「障がい者のパフォーマンスに感じた強い生命力」に引かれた。車いすマラソン選手を指導しつつ、「この世界では避けて通れないベースのクラス分けに関わって支えていこう」と決意。医学、競技の両面の専門的知識を現場で培いながら英語を勉強し、国内、海外の講習会や研修を経て06年に国際クラシファイアに認定された。

 コロナ下の開催は特有の課題を浮き彫りにした。昨年は国際大会の中止が相次いでクラス分けの機会が失われパラリンピックの出場自体が危ぶまれた選手もいた。国内には有資格者が少なく、指宿氏は人材育成と体制づくりを含め「オンラインをうまく使う、暫定的なクラスで競技するなど柔軟な対応が必要」と提言する。自国開催で注目されたパラスポーツ。その発展に不可欠な分野を強い使命感を持って支え続ける。

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2021年9月4日のニュース