渡辺 高1の秋「シングルスでは桃田先輩に勝てない」目標を見失いかけた少年を変えた恩師の問いかけ

[ 2021年7月31日 05:30 ]

東京五輪第8日 バドミントン混合ダブルス3位決定戦 ( 2021年7月30日    武蔵野の森総合スポーツプラザ )

富岡高時代の渡辺(右)、東野組
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 日本男子で初のメダリストとなった渡辺には、忘れられない一日があった。富岡高1年の秋、1カ月ほど学校に行かず、東京の実家に帰った。「学校もバドミントンも面白くなくなった」。そんな折、現ふたば未来学園高の本多裕樹監督(36)が、動いた。渡辺を車に乗せ、猪苗代の寮から近い磐梯山までドライブ。山の中腹で車を止め街を見下ろしながら、本多監督は優しく問いかけた。

 「将来どうなりたいんだ?」。現状に行き詰まっても、渡辺は世界を見ていた。「シングルスはやっぱり桃田先輩には、たぶん勝てません。日本で一番になれません。でも、混合ダブルスだったら世界でメダル獲れると思うんです」。その構想を具現化し、本多監督は「それを有言実行してくれた」と語った。

 ○…2人の母校・福島県立富岡高の流れをくむ同県広野町のふたば未来学園中・高で、マスク姿のバドミントン部員約50人がテレビ中継を見守った。勝利の瞬間「ワーッ」と声を上げ、大きな拍手は1分ほど続いた。中学校時代に指導した斎藤亘さん(49)は「諦めない気持ちが彼らの持ち味。それを試合でも貫いてくれた」と涙で声を詰まらせた。

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