照ノ富士 令和初の新横綱に「不動心を心掛け、品格、力量向上に努めます」

[ 2021年7月22日 05:30 ]

伝達式で口上を述べる、第73代横綱となった照ノ富士(中央)。奥は伊勢ケ浜親方(代表撮影)
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 日本相撲協会は21日、東京都内で大相撲秋場所(9月12日初日、両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、照ノ富士(29=伊勢ケ浜部屋)の第73代横綱昇進を正式に決めた。令和初の新横綱誕生で、モンゴル出身力士では5人目。

 理事会終了後、協会は同じ伊勢ケ浜一門の高島理事(元関脇・高望山)と浅香山審判委員(元大関・魁皇)を使者として江東区の伊勢ケ浜部屋に派遣し、昇進を伝達。照ノ富士は「謹んでお受け致します。不動心を心掛け、横綱の品格、力量の向上に努めます」と口上を述べ、大関から序二段まで転落しながら復活を支えた思いをにじませた。土俵入りは不知火型で、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が指導する。

 記者会見で口上の自己採点を問われると「自分の中では満点」と言うが、笑みは全くない。「いろんなことがあったけど、何事にもぶれない精神を持って、これからも頑張っていきたい」。ケガなどで引退の危機から頂点にまで上り詰めた道のりを改めてかみしめた。

 協会の屋台骨として責任ある立場となり、国技の継承発展を担う。口上に「品格、力量の向上」の文言を盛り込んだことに「どういう生き方をするべきか考えて入れた。生き方で証明したい」と話し、さらなる精進を期した。

 ◇照ノ富士 春雄(てるのふじ・はるお=本名ガントルガ・ガンエルデネ)1991年11月29日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の29歳。相撲留学した鳥取城北から間垣部屋に入門し、11年5月の技量審査場所初土俵。部屋閉鎖で13年、伊勢ケ浜部屋移籍。14年春場所新入幕。15年名古屋場所新大関。17年九州場所で関脇に転落。5場所連続休場から19年春場所に序二段で復帰。再入幕の20年7月場所で幕尻優勝。今年夏場所で21場所ぶりに大関に復帰。優勝4回。殊勲賞3回、敢闘賞3回、技能賞3回。得意は右四つ、寄り。1メートル92、177キロ。

 ▽横綱の待遇 常勝が求められ、引退と背中合わせの過酷な地位だが、最高位としての厚遇も用意されている。月給は大関より50万円増の300万円。横綱を締め、太刀持ち、露払いの力士と三つぞろいの化粧まわしを着けて土俵入りする。綱締めなどのため、大関で5人程度だった付け人は10人前後に増える。年寄名跡を襲名せずに引退しても、5年間は力士名のまま年寄として日本相撲協会に残ることができる。

 ▼伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)よく頑張った。周りがどれだけ支えても、本人がやらないとしょうがない。一日一日の積み重ねだと思う。これからもしっかりとした気持ちを持って、横綱というものを確立してほしい。

 ▼八角理事長 横綱は、大関にはないものを求められ、今まで以上に多くの期待や重圧と闘わなければならないと思うが、その強い精神力と、経験を糧に乗り越えていってほしい。

 【横綱昇進過去の口上】
 ▽北の湖「栄誉ある地位を辱めないよう努力」(1974年名古屋場所後)
 ▽千代の富士「横綱の名を汚さぬよう、一生懸命頑張ります」(81年名古屋場所後)
 ▽旭富士「健康に注意しながら、心技体の充実に努めます」(90年名古屋場所後)
 ▽曙「横綱の地位を汚さぬよう、稽古に精進」(93年初場所後)
 ▽貴乃花「不撓(ふとう)不屈の精神で、力士として不惜身命(ふしゃくしんみょう)を貫く」(94年九州場所後)
 ▽3代目若乃花「横綱として堅忍不抜の精神で精進」(98年夏場所後)
 ▽朝青龍「相撲道発展のために一生懸命頑張ります」(2003年初場所後)
 ▽白鵬「精神一到を貫き、相撲道に精進」(07年夏場所後)
 ▽日馬富士「全身全霊で相撲道に精進」(12年秋場所後)
 ▽鶴竜「横綱の名を汚さぬよう、一生懸命努力」(14年春場所後)
 ▽稀勢の里「横綱の名に恥じぬよう精進」(17年初場所後)
 

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