東京五輪開幕迫る、組織委「このタイミングなので」過去いじめ加害の小山田圭吾を外せず

[ 2021年7月18日 16:32 ]

国立競技場と五輪マーク
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 新型コロナウイルス禍での開催となる東京五輪の開幕が、23日に迫ってきた。

 大会組織委員会は14日、開閉会式の制作・演出に関わるメンバーを発表。開会式(23日)の楽曲制作にミュージシャンの小山田圭吾が名を連ねていたことが、開幕へのカウントダウンの中で大騒動に発展した。小山田が過去に雑誌のインタビューでクラスメートや障がい者に対する筆舌に尽くしがたい、いじめを行っていたことを自慢げに告白。組織委のメンバー発表以降、SNSなどで広く拡散された。

 ニュースでも報じられ始めた16日、丸川珠代五輪相は「大変、恐縮ですが、まだ報道を確認していない。報道を確認したい」とだけ話した。同日夜、小山田は自身のツイッターで謝罪。組織委も「引き続き最後まで準備に尽力していだたきたい」と辞任、解任の方針は示さなかった。17日の組織委の会見で、武藤敏郎事務総長は「彼(小山田)は今、現時点において十分に謝罪をして反省をして、倫理観を持って行動したいと言っている」と擁護した。

 今年2月、森喜朗前会長が女性蔑視とも取れる発言をした際、組織委は最初は擁護しながら、海外メディアなどの“外圧”が強くなったことで、森前会長は辞任。3月、開閉会式の演出統括だった佐々木宏氏が、女性タレントの容姿を侮辱するような構想を演出チームに伝えていたと報じられた際は、森前会長の騒動における反省を生かしたのか、報じられた当日の深夜に佐々木氏は辞意表明に至った。

 武藤事務総長は小山田の過去の悪行について「知らなかった」としている。この人ってどんな人だろう、と思えば、ネットでの情報入手は容易な時代だ。それも、各分野で活躍しているような人物はなおさら。武藤事務総長も橋本聖子会長も、組織委の幹部は重要なセレモニーを任せる人物に、そもそも興味を抱いていないことが浮き彫りになった。

 「現時点においては小山田さんの弁明も伺って、引き続き、このタイミングなので彼には支えていってもらいたい、貢献してもらいたいと考えている」と武藤事務総長。「このタイミング」とは、開会式まで時間が残されていないという意味だろう。小山田起用に至った経緯、任命責任、全てをうやむやにしたまま、国立競技場に開幕を告げる音が響こうとしている。

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2021年7月18日のニュース