パナソニック・福岡 ハットで有終V王手「優勝できるように全力を尽くしたい」

[ 2021年5月16日 05:30 ]

ラグビートップリーグ プレーオフT準決勝   パナソニック48-21トヨタ自動車 ( 2021年5月15日    花園 )

<パナソニック・トヨタ自動車>後半29分、トヨタ自動車・高橋(左)のタックルを受けながらも左スミにトライを決めるパナソニック・福岡(撮影・成瀬 徹)
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 5季ぶり5度目のリーグ制覇を目指すパナソニックが48―21でトヨタ自動車を下し、23日の決勝(秩父宮)進出を決めた。今年4月に順大医学部に進学し、両立生活を続けるWTB福岡堅樹(28)が先制トライを含む今季2度目のハットトリックで勝利に貢献。現役最終戦となる決勝で、16年4月入団の自身は経験がないリーグ制覇を果たし、花道を飾る。

 2010年12月28日、名門・福岡高にとって28年ぶりの花園の1回戦で、終了間際に左サイドを40メートル爆走し、認定トライで劇的な逆転勝ちにつなげた衝撃の花園デビューから11年。聖地最終戦に臨んだ福岡が、記憶と記録に残る活躍で別れを告げた。

 開始31秒で先制トライを挙げ、後半に2トライを追加。「このスタジアムで、たくさん素晴らしい試合をしてきた。最後にハットトリックで終われて良かった」。左まぶたを切った顔で、名残惜しそうにほほ笑んだ。

 1本目は相手キックオフを蹴り返さずに福岡に回り、自陣からボールキャリー。FB野口とのワンツーで、最後は左隅に飛び込んだ。その後は3連続トライを許したが「(敗戦の予感は)全くしなかった」と言う通り、後半はチーム本来の堅守を発揮しPG1本の失点のみ。福岡も同29分の2本目に続き、同37分にはハイボールキャッチから約60メートルを走りきる個人技で、3本目だ。今季通算トライを13まで積み上げた。

 4月に順大医学部に進学し、現在は東京と練習場がある群馬県太田市を往復しながらの両立生活が続く。大学の理解もあり、必要なチーム練習には参加するが「特別扱いはない」と出られない授業の分は課題に取り組みカバー。前半にはタックルミスで相手WTB高橋汰にトライを許し「自分としてはまだまだ」と反省したが、ミスを取り返して余りある3トライになった。

 「悔いが残らないように、優勝できるように全力を尽くしたい」。泣いても笑っても、あと1試合。華のあるトライゲッターには、もちろん笑顔のラストマッチがふさわしい。

 《早々投入の堀江が統率、ディフェンス安定》前半21分に早々と投入されたフッカー堀江が、浮つくチームを落ち着かせた。戦況を分析してピッチへ入ると「動きが悪い選手には個人的に声を掛けた」と引き締め、本来の堅いディフェンスを発揮。ボールキャリアーが孤立しがちだった攻撃でも、サポート役との連係を深めるように指示し、後半の猛攻につなげた。今季はベンチスタートから存在感を発揮しており、ゲーム主将の布巻も「早い時間に活を入れてもらい、みんなスイッチが入った」と話した。

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2021年5月16日のニュース