【玉ノ井親方 視点】正代のパターンを研究、“嫌がる相撲”取った若隆景 夏場所で面白い存在に

[ 2021年5月10日 20:05 ]

大相撲夏場所2日目   ○若隆景(寄り切り)正代● ( 2021年5月10日    東京・両国国技館 )

<夏場所2日目>正代(左)を寄り切りで破る若隆景(撮影・久冨木 修)
Photo By スポニチ

 若隆景は相手が嫌がる相撲を取っていた。正代は左から差し手を狙ってきたが、おっつけながら押し返して引かなかった。回り込んで相手が少し体勢を崩したところで自分の右が入ると、そのまま正代の体を起こして前に出た。

 大関の相撲をよく研究した取口だった。正代は胸を出す立ち合いからもろ差しを狙うのがパターン。だが、差せないと受け身になって引く癖がある。そのため徹底して差し手を防ぐことができれば、自分の流れに持っていくことができる。正代にすれば、若隆景に一番嫌な相撲を取られた感じだろう。

 1メートル82、127キロの若隆景は最近の大型の力士の中では小兵の部類に入る。だが、下半身が強いので立ち合いで小細工することもないし、正攻法で当たることができる。下から相手を押し上げ、おっつけながら前に出るのが持ち味で、中に入っても取れる。真っ向勝負でどんどん取る。前に出て圧力負けしない。

 先場所は西前頭2枚目で10勝5敗と大勝ちしている。上位陣ともよく稽古をしているので自信もついてきているのではないか。この日のように4大関の一角を崩せる相撲を取れるのは楽しみ。今場所は面白い存在になっていくはずだ。(元大関・栃東)

続きを表示

2021年5月10日のニュース