一つ屋根の下の結束…浜田真由×山田美諭 テコンドー女子代表の物語

[ 2021年4月29日 08:45 ]

浜田真由(左、16年撮影)と山田美諭(18年撮影)
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 一つ屋根の下で夢舞台へ準備を進める選手たちがいる。テコンドー女子代表57キロ級の浜田真由(27=ミキハウス)、49キロ級の山田美諭(27=城北信用金庫)。東京五輪切符を獲得した同級生の2人は、90日を切ったカウントダウンを共有している。

 きっかけは今年3月。東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で五輪代表による長期合宿が始まったが、宿泊施設が確保できなかった。誕生日が1カ月違いの山田と浜田はこれまでも遠征を共にし、互いの家にも泊まる間柄。今夏に全てを懸ける2人は、近隣で2人暮らしを始めることになった。自然な流れだった。

 山田が「2人ともまったりした性格」と語るように、掃除や洗濯、ゴミ出しなど家事の役割分担はなく、気づいた方が行う。朝食も早く起きた方が作り、食卓にはみそ汁や卵焼き、魚などが並ぶ。ハードな練習を終え、帰宅後は競技の話で盛り上がることも。「一緒に練習しているから(内容を)共有できるのが凄くいい」と浜田。2人の結束は固い。

 浜田は3大会連続の五輪舞台。16年リオ五輪後の19年2月には右股関節の手術に踏み切った。リハビリを経て、現在の状態は「35~40%」と言う。不安は募るが、仲間の存在は大きい。初出場の山田にとっても浜田との会話は学びの連続。「ロンドンやリオの時のことを話してくれて凄く勉強になる。(浜田が)五輪が近づくにつれて周り(の空気)が変化していく、と言っていた」と山田。平常心で本番を迎えるためにも、2人で過ごす日々には大事な意味がある。

 NTCの練習場に置かれているホワイトボードには、五輪までの残りの日数が書かれている。夏の足音は近づくが、その時間を共有する2人は動じない。絆を深めた友とともに――。迷いなく迎える勝負の先には、きっとハッピーエンドが待っている。(記者コラム・滝本 雄大)

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2021年4月29日のニュース