ヒートのレナードに5万ドルの罰金処分 ユダヤ系を侮蔑する差別用語を口にして批判噴出

[ 2021年3月12日 10:05 ]

5万ドルの罰金を科せられたNBAヒートのマイヤーズ・レナード(AP)
Photo By AP

 NBAはヒートのセンターで肩の故障ですでに今季の出場が絶望となっていたマイヤーズ・レナード(29)に対し、労使協約で定められている最高額となる5万ドル(約545万円)の罰金を科した。

 ビデオゲームのライブストリームでユダヤ系に対する侮蔑的な言葉を口にしたためで「その本当の意味を知らなかった」と語った本人は、ソーシャルネットワークに動画が投稿された翌日の9日に謝罪。しかしNBAのアダム・シルバー・コミッショナーは「その言葉はNBAでも社会一般でも認められない」として、チーム施設の1週間の使用禁止を含めた最大級の処分を科した。

 対戦式ゲームに参加したレナードは「この臆病者、オレを撃つな」と語ったあと対戦相手をさらにののしったのだが、そこで使われた言葉が米国のメディアが報道の中でも文字にも言葉にもしなかったユダヤ系を侮蔑する単語。ニューズウイーク電子版のダン・キャンシアン記者は単語そのものは表記していないがかなり踏み込んだ歴史的背景を付記しており、複数の情報を統合するとレナードが口にした差別用語は「KIKE(カイク)」だったと推察される。

 語源ついては所説あるが、キャンシアン記者が紹介したのはポーランド出身の米政治学者で小説家でもあったレオ・ロステンの説。その昔、読み書きができなかったユダヤ系移民が、移民局のあったニューヨークのエリス島で手続きをした際、各書類には署名欄があったのだが、アルファベットが書けないために担当者はそこに「X」と書くように促したことが発端。しかし移民たちは「X」と記すことはキリストの十字架を連想させるとして「X」の代わりに「○」を書いていた。東欧ユダヤ系の言語、イディッシュ語で「○(circle)」は「kikel(カイケル)」で、ここから「KIKE」や「KIKEE(カイキー)」がユダヤ系移民を指し示す差別的な言葉となって広まったとされている。

 レナードは罰金と施設への“出入り禁止”以外にも、復帰するためにはリーグが定めている文化プログラムの受講が必要。差別的用語で問題を引き起こした“前歴”はなかったと見られているが、今回はきびしい処分と向き合う結果となった。

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2021年3月12日のニュース