「世紀の一戦」から3カ月 丸山城志郎 ライバル阿部に「日本の柔道体現を」

[ 2021年3月9日 14:46 ]

丸山城志郎
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 柔道男子66キロ級の丸山城志郎(27=ミキハウス)が9日、母校の天理大で練習を公開した。丸山は昨年12月の東京五輪代表決定戦で、阿部一二三(23=パーク24)に敗戦。世紀の一戦と呼ばれた3カ月前の名勝負、ライバル阿部への思い、今後の柔道人生など、様々な思いを語った。

 決定戦の後はしばらく休養し、年明けから再始動。この日も練習拠点を置く母校で厳しい稽古を行い、来月の全日本選抜体重別選手権(3、4日、福岡国際センター)に備えた。自身の状態については「良くも悪くもなく、今のところ順調に来ている」。稽古では接近戦を意識した乱取りを繰り返し、「選抜に向けてというよりは、今後の自分の柔道に向けた意味で練習している。僕は技のスピードが持ち味だと思うが、プラスアルファで馬力のある柔道、力強さを取り入れようと。そういう練習だったり、接近戦を多くした練習をわざと取り入れている」と話した。

 丸山が稽古で新たな取り組みを始めるきっかけとなったのは、他でもない阿部との決定戦だ。ちょうど24分間に及んだ試合の最後、接近戦となった状況で相手の大内刈りに必死に耐えようとしたが、技ありを奪われた。「競った試合で勝負を分けるのは、接近戦が多い。決定戦はもつれて、最後に(体を)ひねりきれなかった。力づくでねじ伏せるような、シンプルに強い体が必要だと思った」と話し、新たに下半身のトレーニングに重点を置くようになったという。

 いつまでも立ち止まってはいられない。「負け試合に悔いが残らない試合はない。ただ、あの試合は全部出し切って、気持ちの面、体の面でも状態は完璧に近かったので、悔しかったが出し切ったので、スッキリしたというか、出し切ったことで、すぐ次に向けて動き出せた」という。大きな目標は3年後のパリ五輪だが、「一番奥の方にパリ五輪があって、まずは一つ一つの階段を昇っていく感じ。今は選抜や(6月の)世界選手権の優勝を目指しているが、僕自身の柔道の進化を重点を置いてやっているので、それを軸に試合があるという感覚」と話した。

 最後に阿部への思いを問われると、「日本代表として、相応しい柔道をあの舞台(東京五輪)で体現してほしいというか、日本の柔道、釣り手と引き手をしっかり持って、一本取りに行く姿勢、勝負にこだわる姿勢は一番大切だと思うが、それとは別に、日本らしい、釣り手と引き手をしっかり持って、一本取りに行く姿勢を見たいと思う」と、静かな口調で語った。

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2021年3月9日のニュース