大坂 2年ぶり全豪制覇王手!セリーナをパワーで圧倒“世代交代”証明

[ 2021年2月19日 05:30 ]

テニス 全豪オープン第11日 ( 2021年2月18日    オーストラリア・メルボルン・パーク )

全豪オープン女子シングルス準決勝でS・ウィリアムズをストレートで破った大坂(AP)
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 女子シングルス準決勝で、第3シードの大坂なおみ(23=日清食品)が、4大大会通算23勝のセリーナ・ウィリアムズ(39=米国)を6―3、6―4のストレートで下した。2年ぶり2度目の優勝に王手をかけ、今大会後に発表される世界ランキングが現在の3位から2位に浮上することも確定。20日午後7時半(日本時間同5時半)からの決勝では世界24位のジェニファー・ブレイディ(25=米国)と激突する。

 大きな意味を持つ白星をあっさりと手にすると、大坂はネットに駆け寄り、S・ウィリアムズに軽くお辞儀をした。4大大会通算23勝を誇る憧れの存在を、わずか1時間15分で撃破。ハグを交わして健闘を称え合い「彼女との対戦は、いつでも光栄。最初は緊張したけど、少しずつ楽しめるようになった。ひどい試合にしたくなかったのでベストを尽くした」と感慨深げに振り返った。

 立ち上がりはガチガチだった。第1セット第1ゲームでいきなりブレークを許した。ダブルフォールトや凡ミスを連発。自滅寸前だったが、第3ゲームで握られたブレークポイントをしのぐと、落ち着きを取り戻した。サービスエースは相手の倍の6本、ウイナーも相手の12本を上回る20本。女子テニス界にパワーで君臨してきた元女王を力でねじ伏せた。

 S・ウィリアムズとの4大大会での初対戦は、大坂が初優勝した18年全米オープンの決勝だった。当時はS・ウィリアムズが主審の判定に猛抗議。警告から失点するなど荒れに荒れた。大坂は優勝スピーチで「勝っちゃって、ごめんなさい」と涙した。完全な挑戦者だった2年5カ月前と、今は違う。世界3位の実力者として真っ向勝負で退け、世代交代を印象づけた。

 試合前夜は日本食が多いが、17日夜はギリシャ料理を食べた。その後、同国出身チチパスが世界2位のナダル(スペイン)に勝ったため「何かが起こるかも」と、試合前から縁起の良さを感じていたという。激闘直後に緩い裏話を明かす、大坂節。日本が東京五輪・パラリンピック組織委員会の混迷で揺れ、国民がスポーツへのマイナス感情を抱きかねない状況下に、明るい話題を提供した。

 昨夏の全米前哨戦から続く連勝は20にまで伸びた。決勝では過去2勝1敗のブレイディと激突する。昨夏の全米準決勝ではフルセットにもつれる2時間8分の激戦の末に競り勝った。4大大会4勝目となる、2年ぶりの全豪制覇まであと1勝に迫ったが「以前は気持ちのアップダウンが激しく、自分を疑うこともあった。でも(パンデミックによる)世界の混乱を見て、さまざまな見解を持つようになった。昔は勝つことにこだわりすぎていたけど、今はそうではない」と重圧はない。プレーできる幸せをかみしめ、ファイナルのコートに向かう。

 《外出制限解除で再び有観客に》13日から無観客だった大会はこの日から収容可能人数の約50%に制限した観客を入れて実施された。8日の開幕から12日まで1日最大3万人を入れていたが、メルボルンで新型コロナウイルスのクラスター発生に伴う外出制限が課されたため、無観客にシフト。外出制限が17日深夜に解除されたことを受け、再び集客が可能となった。大坂は12日の3回戦以来3試合ぶりに観客の前でプレーし「観客のいる中で試合ができて本当に楽しかった」と喜んだ。

 ▽18年全米オープン決勝VTR 第1セットは大坂が6―2で先取。第2セット第2ゲームでセリーナが観客席のコーチから助言を受けたとされ、1回目の警告を受ける。第5ゲームでラケットを破壊して2度目の警告を受け、大坂に1ポイント。さらに第7ゲームで再び審判に抗議の暴言を吐き3度目の警告。第8ゲームは戦うことなく大坂に与えられた。ストレートで大坂が勝利したあとの表彰式ではブーイングの嵐が起きた。

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