砂村光信氏、全国高校ラグビー展望 京都成章の“最速”守備を桐蔭学園どう崩すか

[ 2021年1月9日 07:00 ]

桐蔭学園の矢崎(左)と京都成章の辻野
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 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、無観客で開催されてきた第100回全国高校ラグビー大会は9日、東大阪市の花園ラグビー場で決勝を迎える。2大会連続3回目の優勝を狙う桐蔭学園(神奈川)と決勝初進出で初頂点を目指す京都成章(京都)の激突。本紙評論家の砂村光信氏(61=元U―23日本代表監督)が決戦のポイントを指摘した。

 両校のディフェンスを比べると、京都成章は速く、桐蔭学園はうまい。京都成章は守備ラインの上がり方がとにかく速く、ブレークダウン(タックル後のボール争奪戦)への寄りも速い。タックルが「ピラニア」と称されるのもうなずける。一方の桐蔭学園はチャンスではブレークダウンに人数をかけてターンオーバーするが、無理とみればすぐに立ち上がって次の局面に備える判断が光る。選手同士の横の連係ができている証拠だ。

 勝負のポイントは、それぞれのディフェンスに対し、どんなアタックができるかだ。特に京都成章の速いディフェンスを、桐蔭学園バックスがどう見極めるかに注目したい。準決勝の大阪朝鮮高も守備ラインが速く詰めてきたが、桐蔭学園はSOがワンテンポ長くボールを持つことで、相手CTBが飛び出してできた“段差”を利用し、入れ違うようにCTBが抜くプレーを見せていた。そのままバックスにボールを回すとCTBのところで相手タックルにつかまってしまうが、CTB秋浜がスペースを見つけて抜いていくタイプでもあり、SOと連動して速い守備ラインを崩している。京都成章としては、桐蔭学園がプレーの判断ができなくなるぐらいプレッシャーをかけ、速い展開を食い止めたい。

 京都成章の注目選手はキック力のある主将の辻野隼大(3年)を挙げたい。元々はSOで今大会はFB、ケガ人が出た準決勝はCTBでプレーしたが、キックで効果的にエリアを獲得し、敵陣で試合を進めたい。一方、桐蔭学園はFB矢崎由高(1年)。準決勝で3トライをマークしたラッキーボーイだ。サイズがあり、2年までFBでプレーした前主将の伊藤大祐(現早大1年)を思わせる。

 経験値で言えば昨年も決勝を経験している桐蔭学園が有利だが、今大会は無観客。初めて決勝を戦う京都成章も、独特の雰囲気にのまれることはないだろう。もちろん、桐蔭学園も地元・関西勢への声援がないため、普段通りの力を発揮できそうだ。 (元U―23日本代表監督)

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