天理大 寮に貼った写真見て悔しさ忘れず、明大にリベンジ さあ次は昨季敗れた早大倒し悲願日本一へ

[ 2021年1月3日 05:30 ]

ラグビー全国大学選手権準決勝   天理大41-15明大 ( 2021年1月2日    秩父宮ラグビー場 )

<準決勝 明大・天理大>後半、ボールを運ぶ天理大・シオサイア・フィフィタ(撮影・沢田 明徳)
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 天理大が6トライを挙げて41―15で完勝し、悲願の日本一に王手をかけた。2大会前の決勝で敗れた相手に、SO松永拓朗(4年)を中心とした当時のメンバーが柔軟な戦術で対応し、リベンジに成功した。帝京大に33―27で勝利した早大と、1月11日(国立競技場)の決勝で戦う。

 プランAがダメなら、BもCもある。天理大はしたたかだった。

 前半36分、ゴール前の反則ですぐに仕掛けたものの、再開の位置が違うと、主審にやり直しを命じられた。作戦がラインアウトやスクラムに変わることを想定して明大FWが集まる。その一瞬のスキをSH藤原は見逃さなかった。また素早く再開して、ロックのモアラにパス。巨漢が手薄なインゴールに飛び込んだ。19―5と広げ、関東対抗戦王者に深いダメージを与えた。

 試合前の計画は違った。SO松永は「今年はFWがこだわってきたから」と、反則を奪った後は、マイボールで始まるラインアウトにすることが“プランA”だったと明かす。しかし、高さは劣勢。序盤に3本奪われた。一方、自慢の高速アタックは通用した。15人で意思統一して作戦を切り替えた。

 「2年前の自分は未熟でゲームの流れを考えられなかった。今日は(ラインアウトで)うまくいっていないのを見て修正した」

 2大会前の決勝の相手も会場も、この日と同じだった。2年生だった司令塔は相手の戦術にお付き合いしてキックを必要以上に蹴り、味方の攻撃を引き出せなかった反省がある。5点差で惜敗した。

 松永ら4年生は、その明大戦の悔しさを、自分たちの「原点」にした。昨年2月。フランカー松岡主将は「忘れないために」、日本一を逃した試合の写真にスコアを入れ、最も部員の目に触れる寮の玄関付近とトレーニングルームに貼った。

 「その時は悔しくても時間とともに薄れる。これを見たら思い出す」と松永は節目に必ず見た。プロップ小鍛治も「筋トレの時も意識する」と同様だ。松岡も松永も小鍛治も藤原もモアラも2大会前の決勝のメンバー。写真を見て本気で心を燃やしたからこそ、成長することができた。

 明大の応援一色だった前回対戦と違い、声援自粛で、アウェーの空気はなかった。代わりに、松岡らFWの雄叫びが何度も響いた。敗戦の記憶の写真は、もう1枚ある。昨年、準決勝の早大戦だ。11日の決勝へ「勝つマインドで行くしかない」と主将は誓う。2年分の悔しさを、まとめて晴らす。

 ≪フィフィタ、パスでもトライ演出≫23年W杯で日本代表入りの期待がかかるCTBフィフィタがパスでも見せた。後半33分中央を突破し、右サイドのWTB土橋に30メートル近い距離のパス。だめ押しトライを演出した。前半には2人を飛ばすパスで好機を広げた。縦の強さだけでなく、裏のスペースへのキックも光り、「関西リーグが終わって、めっちゃ準備をしてきた。結果が出て良かった」と流ちょうな日本語で喜んだ。自身のノックオンでノーサイドとなった2大会前の決勝とは違う姿を見せた。

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