【玉ノ井親方 視点】力の差見せつけた照ノ富士 ケガ回避へ前に出る相撲が大事

[ 2020年11月12日 19:26 ]

大相撲11月場所5日目 ( 2020年11月12日    東京・両国国技館 )

<大相撲11月場所5日目>北勝富士(手前)を上手投げで破る照ノ富士(撮影・会津 智海)
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 三役に復帰した照ノ富士が、全勝の北勝富士に力の差を見せつけた。“どうだ!!”といわんばかりの力強い相撲だった。

 まず、立ち合いの当たりから圧力があった。相手の出足をガッチリ受け止め、すぐに右を差して、左で抱え込むような形になった。そこから、焦らずに自分の態勢に持っていき、左で上手をつかむと、引き付けるように前に出た。すると北勝富士の162キロの巨体が浮き上がった。最後は左からの上手投げで土俵に転がした。

 2日目の朝乃山戦のときにも言ったが、今場所の照ノ富士は、上手を取る位置が浅いのが良い。そこが深いと相手に対処されやすくなる。しかし、浅いところを取れば、相手の体を引き付けやすくなり、何もさせないようにすることができる。

 北勝富士戦も強引に相手を持ち上げようとしたのではなく、左を引き付けたら、自然に相手の体が浮いてしまったのではないか。それだけ照ノ富士の引き付ける力が凄かったということだろう。

 今場所も古傷の膝の痛みは消えていないと思うが、前に出る相撲を取っていれば負担は少ない。引いて下がってしまうと、どうしても影響が出る。ケガを避ける意味でも前に出る相撲に徹することが大事だ。今場所は貴景勝とともに優勝争いを引っ張る存在になると期待している。(元大関・栃東)

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2020年11月12日のニュース