“正代キラー”大栄翔、新大関に初黒星つけた 三役復帰必ず「早く上がれるように」

[ 2020年11月12日 05:30 ]

大相撲11月場所4日目 ( 2020年11月11日    両国国技館 )

11月場所4日目、正代(右)を突き出しで破る大栄翔
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 平幕の大栄翔が正代を突き出し、新大関に初黒星をつけた。1日遅れで27歳の誕生日を自ら祝うとともに、1敗を守った。大関・貴景勝は危なげなく阿武咲を押し出して4連勝。小結・照ノ富士は隠岐の海を寄り切り、平幕の北勝富士や遠藤、琴恵光らとともに4戦全勝とした。

 大栄翔は当たって迷いなく右手を突き出した。回転数を上げた左右の突きは正代の上体を跳ね上げ、回り込む余裕を与えない。電車道の完勝で新大関に初黒星をつけた。

 「まわしを取られたり差されると弱い。向かっていく気持ちでいきました」

 勝負がついた後、肘にサポーターをしたその右手をさしのべた。3日目の取組で左足首を痛め、テーピングを施した正代を気遣った。「(正代のケガについては)自分には分からないこと。考えることが失礼だと思った」。雑念を封印して臨んだ。

 小結に返り咲いた7月場所で11勝し、三役で初めて勝ち越すと同時に大関獲りへの起点とした。ところが新関脇の先場所は5勝止まり。大関昇進を決めた正代とは対照的に平幕へ陥落し、「本当に悔しい思いをした。すぐ戻れるよう、やれることをやってきた」

 その一つが先月初旬に行った右肘の遊離軟骨除去手術。「凄く痛かったので。手術した方が良くなると言われてやった」。まだ完調ではないとするが手応えは左右の突きの回転数に表れている。

 コロナ禍で出稽古ができない力士のため10月中旬の1週間だけ希望者が両国国技館に集って合同稽古を行ったが、大栄翔は参加していない。先場所ブレークした翔猿を含む幕内3人、十両3人を擁する追手風部屋の力士にはその必要性がないアドバンテージがあり、日々充実した稽古を積んできた。

 正代戦はこれで6勝4敗。新大関と互角以上の対戦成績が示すまでもなく、三役クラスの実力を証明した。「1場所でも早く上がれるように頑張ります」。5日目の貴景勝戦がその試金石になる。

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2020年11月12日のニュース