データで見る八村塁の第43戦 「残された面々」の大きな違い

[ 2020年8月3日 06:47 ]

ネッツのディフェンスに苦しんだ八村(AP)
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 ウィザーズはリーグ2位の30・5得点を挙げていたブラドリー・ビール(27)とシューターのダビス・バターンズ(27)が不在。本来の大黒柱でもあるガードのジョン・ウォール(29)もアキレス腱断裂からの今季復帰を見送っている。“オーランド・バブル”に参加している選手の中でチーム・トップの得点を挙げているのは13・5得点の八村塁(22)となっていた。

 主力3人が不在。しかし条件はネッツも同じだった。むしろ彼らの方が“欠員”は多かった。ケビン・デュラント(31)とカイリー・アービング(28)は故障で欠場。今季20・6得点をマークしていたガードのスペンサー・ディンウィディー(27)のほか、センターのディアンドレ・ジョーダン(32)、フォワードのトーリアン・プリンス(26)といった3人は新型コロナウイルスへの感染を理由に“オーランド・バブル”と呼ばれる再開シーズンには加わらなかった。

 プレーオフ圏内にいるものの、戦列を離れた主力5選手の今季年俸総額は9391万ドル(約99億6000万円)。再開シーズンに臨んでいる22チームの中で、最も“損失額”の大きいチームがネッツだった。

 両チームに求められたのは残ったメンバーのステップ・アップ(進歩)。今季出場40試合で17・7得点だったキャリス・ルバート(25)は第4Qの14得点を含む34得点を挙げ、チームただ1人のセンターとなってしまったジャレッド・アレン(22)は22得点と15リバウンドを稼いだだけでなく、今季の成功率が62%だったフリースローを10本全部成功させている。第1Qにはゴール下で八村のシュートをブロック。攻守両面でチームの勝利に貢献した。

 シューターのジョー・ハリス(28)も3点シュートを7本中6本成功。今季の平均得点は13・9得点だったが、これをウィザーズ戦では27得点に引き上げた。

 今季ウィザーズに在籍しながら、出場10試合でチームを追われたガードのクリス・チオーザ(24)もベンチから出て14得点。フランス出身でチオーザと同様にベンチ・プレーヤーだったフォワード、ティモテイ・ルワウキャバロー(25)は20分の出場で8得点だったが、コートにいる間は八村を密着マークして再三にわたってパス・コースとドライブ・インの進路を遮断した。

 彼らの中でドラフトで最も上位で指名されたのはルバートの全体20番目(2016年)。チオーザにいたってはドラフト外でのNBA入りだ。ルワウキャバローは4季目ですでに4チーム目。しかし主力5人がいなくなった中で、自分の役割をそれぞれが持っている“数字”以上にやってのけた。

 さて9得点に終わったドラフト全体9番目指名の八村である。第3Qにフル出場となったのは、この日30得点と調子が良かったトーマス・ブライアント(23)と22得点のトロイ・ブラウンJR(21)の2人をスコット・ブルックス監督(55)がネッツ戦での“軸”と判断した上でのローテーションだったからだろう。第4Qの出場は残り4分5秒から。ルワウキャバローの粘着ディフェンスの影響もあってフィールドゴール(FG)の試投数は、サンズ戦の15本(成功8本)から6本(成功2本)に激減した。

 そこでこう思う。ネッツの“残された面々”にできたことが、ウィザーズの背番号8にできないわけがない。

 3日には東地区全体5位のペイサーズ(40勝26敗)と対戦。覚えておられる方も多いかもしれない。昨年11月6日のこのカードで八村は21分出場しながら無得点だった。放った5本のFGはすべて失敗。まさにどん底の内容だった。だからこそ意味がある試合となる。プレーオフ進出はきびしい状況だが、ネッツの選手が見せた“進歩”を今度は見せてほしいと思う。(高柳 昌弥)

 

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