内村航平、決断の真相(3)世界一を追い求めて

[ 2020年8月3日 07:00 ]

内村航平
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 五輪や世界選手権が近づくたびに、体操男子の内村航平(リンガーハット)は同じフレーズを繰り返してきた。「団体総合で金メダルを獲りたい」。チームメートとともに体操ニッポンを頂点に導くことに集中していた。12年ロンドン、16年リオデジャネイロと2度の五輪制覇を含め、無敵進撃を続けていた個人総合については具体的な目標を挙げることは少なかったと記憶している。

 だからこそ、7月29日の内村の言葉には新鮮な響きがあった。種目別・鉄棒に絞って東京五輪を狙うことを決断してから、初めて多くの報道陣に対応。これまであまり明かしてこなかった、頂点への渇望があふれ出た。

 「今まで結果はついてくるものと言っていたけど、アスリートは負けず嫌いなので。やっぱり、やっている以上は世界で一番になりたい気持ちはあって。ずっと勝ち続けていた時も自分が一番になるんだっていう強い気持ちがあって、すごくそれに支えられてきた。どうしても世界で一番を取りたい気持ちがある」

 オールラウンダーとして世界一に君臨し続け、体操ニッポンの大黒柱としてチームを引っ張ってきた。だが、17年に左足首、18年には右足首を負傷し、深刻な両肩痛で昨年の全日本選手権で予選落ちを喫するなど近年は猛烈な逆風にさらされていた。

 「最近だと代表に入るのがいっぱいいっぱいみたいな感じになって、それだとモチベーションが上がらない。今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなってきて、世界で一番取れないかぁっていうつらい気持ちになると、メンタル的にも6種目練習している意味があるのかなっていう時もあった」

 鉄棒では世界選手権で15年金メダル、14、18年銀メダル、11、13年に銅メダルを獲得。自身の種目別でもっとも多く表彰台に立った。再び世界一にフォーカスする今、高い意欲で汗を流している。個人総合の時は週に5回だった練習は、週6回に。午前は体のバランスを整えるために床運動やあん馬、跳馬など肩に負担のかからない範囲でトレーニングを行い、午後は鉄棒に特化する。H難度の大技「ブレトシュナイダー」の成功率も上々だ。

 「6種目で出せていたあの感じ、まあ、なんていうんでしょう、勇気とか感動になってくるんですかね。見ている人をワクワクさせるような、というか。そういうのを鉄棒だけでも表現していけたら」

 新型コロナウイルスの影響で延期となった東京五輪。種目別・鉄棒の決勝は、ちょうど1年後の8月3日に行われる。目指す黄金の頂へ、カウントダウンが再び始まった。(杉本 亮輔)=終わり=

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