霧の中で操縦士が方向感覚を喪失 ブライアント氏死亡のヘリ墜落事故で当局が報告書を公表

[ 2020年6月18日 14:09 ]

墜落現場を訪れた運輸安全委員会の調査員(AP)
Photo By AP

 米国の国家運輸安全委員会(NTSB)は17日、NBA元レイカーズのコービー・ブライアント氏を含む9人が死亡した1月26日のヘリコプター事故に関しての報告書を公表。1700ページにおよぶ文書の中で、中型ヘリの「シコルスキーS―76」を操縦していたアラ・ゾバヤン氏が「霧の中で方向感覚を失っていた」と事故原因について言及した。

 墜落後の調査ではエンジンなどの機体には異常がなかったことが確認済み。墜落に至った原因は、航空機のパイロットなどが飛行中に機体の傾きや上下の感覚などを失う「バーティゴ(空間識失調)」だと思われるが、結論は最終報告書にまとめられる見通しとなっている。ゾバヤン操縦士は事故直前、実際は機体が加速しながら降下しているにもかかわらず、高度4000フィート(約1220メートル)に向けて上昇していると航空管制官に報告。カリフォルニア州カラバサスの傾斜地に激突したときの時速は296キロに達しており、破片はサッカーの競技場ほどの広さに散らばっていた。

 また同操縦士は離陸の約45分前、天候については「問題ない」と関係者に連絡。ブライアントの個人的アスタントを務めていたケイト・ブレイディーさんによれば、当初の離陸予定時間は午前9時45分だったものの、ブライアント氏は同乗していた次女ジアナさんのバスケットボールの試合で監督を務める前に、別のチームの試合も見たいと言い出して出発を45分早めたとしている。

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2020年6月18日のニュース