“幻の選抜”も実績に!高3アスリート救済策 中大はスポーツ推薦で全競技対象に特例措置

[ 2020年5月21日 05:30 ]

全国高校総体(インターハイ)中止を発表した全国高等学校体育連盟の岡田正治会長(左)と奈良隆専務理事(右端)
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 新型コロナウイルスの感染拡大は、スポーツを志す高校生の進路にも多大な影響を及ぼしている。先月26日に史上初の中止となった全国高校総合体育大会(インターハイ)に続き、夏の甲子園も中止が決定。大学のスポーツ推薦には全国大会の実績が用いられるケースが多く、選考する側にとっても「材料」を失う形となった。これを受け、中大は全競技を対象に特例措置の実施を決定。前例なき事態に直面した大学側の対応を探った。

 大学進学の鍵を握るはずだった「実績」を失った高校3年生に、救いの手を差し伸べようとする動きがある。中大は今年度に限り、スポーツ推薦入学試験の出願資格を大幅に緩和することを決定。中止となった各競技の全国高校選抜出場予定だった選手を「全国出場」とみなすなどの特例措置を実施する予定で、7月1日に新たな募集要項をホームページで発表する。

 これまで、中大のスポーツ推薦出願資格は(1)全国選抜相当の全国大会に出場し特に優秀な成績を収めた者(2)個人として格別に競技能力が優秀であると認められる者とされていた。だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国大会は相次いで中止。選考材料を失ったため、“幻の選抜”も実績に含める方針を固めた。

 選手にはアピールの舞台も用意する方向という。出願資格の(1)にある「特に優秀な成績を収めた者」の判断は、昨年までは大会実績を重視していた。今年は8月中旬までに、各競技で「練習会」を実施する予定。あくまでもコロナ禍の終息が大前提だが、最後に3年間の努力を発揮できる場を用意する。

 中大剣道部の北原修監督(47)は、高校3大大会(選抜、玉竜旗、インターハイ)全てが中止となった現状に「競技を続けられる機会をつくってあげたい」。また、同水泳部の高橋雄介監督(57)も「高校3年生で伸びる子は大学でも伸びる。今年活躍できなかった子に声を掛けたい」と話した。

 萩生田文科相が要望したインターハイの代替大会開催は、各都道府県によって対応が不透明。中大の取り組みは、高校生アスリートの希望となるかもしれない。

 ≪早大は“従来どおり”≫一方、例年同様の選考方針としているのは早大だ。学力とともに重視される競技歴は、高校3年間の実績。同大女子柔道部の川田一洋監督(62)は、柔道も高校3大大会(選手権、金鷲旗、インターハイ)が中止となった現状に「昨年までの実績で見ることしかできないので、我々も頭を抱えている。(出願者は)少なくなるはず」と胸中を語る。

 柔道は階級制スポーツだが、体力差が顕著で、最終学年に結果を残す選手が大半という。「柔道で1年生から活躍できる選手はなかなか少ない。高校1年からの実績で判断することは認められているので、それにすがるしかない」と困惑。3年生の試合がほとんど行われていないため「新たな選手の発掘ができなくなった」と苦しい状況を吐露した。

 ≪「一芸」大歓迎 明大サッカー部≫部活動が制限される現状で、スポーツ推薦の是非が問われるケースもあるという。昨年、大学3冠を達成した明大サッカー部の栗田大輔監督(49)は「勉強も一芸、スポーツも一芸。今社会は多様化の時代で個々が評価されるのはあって当然」とスポーツ推薦制度の必要性を口にする。指揮官は民間企業に勤務する一方で、母校では社会に通用する指導をモットーとしている。「社会生活はスポーツとイコール。一定の資格が足りないから進学できない、ではいけない。完璧な人はいない」とも話した。

 ≪プレー動画募集“ビデオ判定”も≫地方ではユニークな選考を行う大学がある。仙台大、札幌大サッカー部ではともに全国の高校3年生からプレー動画を募集。入試規定をクリアした上で、スポーツ推薦の選手を“ビデオ判定”する。サッカーは全国選手権が年末に控えるが、仙台大の吉井秀邦監督(47)は「毎年選手権の時期には進路は決まっている。サッカーを続けられる機会を広げてあげたかった」と率直な思いを語った。

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