羽生結弦、完璧世界新「ワインとかチーズみたいなもの」熟成の「バラード第1番」

[ 2020年2月7日 22:48 ]

フィギュアスケート四大陸選手権第2日 ( 2020年2月7日    韓国・ソウル )

<フィギュア四大陸選手権第2日>男子SP、演技を終え笑顔の羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 男子ショートプログラム(SP)で、羽生結弦(ANA)が世界最高得点となる111・82点をマークして首位に立ち、初優勝に王手をかけた。

 18年2月16日の平昌五輪SP以来、721日ぶりに競技会で「バラード第1番」のピアノの旋律に乗った。冒頭の4回転サルコー、トーループの4―3回転、トリプルアクセルと全て完璧に決め、自身が保持していた110・53点(18年ロシア杯)の従来の世界最高を超えた。

 「なんか久しぶりですね。これまでのバラード第1番の中でホントに一番良かったんじゃないかと自分の中では思っている」

 14―15年シーズン、15―16年シーズン、17―18年シーズンとSPで滑った「バラード第1番」は、やはり羽生の体と心になじんでいた。練習では4回転サルコーに苦しんだが、本番では4・43点もの加点を引き出して成功。「音と跳べるフォームがたぶん、一緒に記憶されているんだろうなと思って」。そして、メダリスト会見では独特の表現で説明した。

 「このプログラムはやはり自分のプログラムで、もうこれで滑るのは数え切れないくらい試合で滑ることになってますけれども、自分の中ではワインとかチーズみたいなもので。今までこういうフィギュアスケートの形って、あまりなかったかもしれないですけれども、滑れば滑るほど、時間をかければかけるほど熟成されていって、いろんな深みが出るプログラムだなと思っていて。それがとても自分らしいというか、心から曲に乗せてジャンプしたりステップしたりできる一番の理由かなと思う。オトナル(秋によせて)はやっぱり、自分がジョニー・ウィアーさんのオトナルを見て、それに憧れてやりたいと思った曲なので、ちょっと憧れの気持ちが強かったのかなという気持ちがあって、だから自分のスケートにならなかったのかなと思います」

 ジュニアGPファイナル、世界ジュニア選手権、GPファイナル、世界選手権、五輪を制した黄金のキャリアの中で、四大陸は唯一、手にしていないタイトル。優勝すれば、国際オリンピック委員会(IOC)のインターネットテレビ「五輪チャンネル」が“スーパースラム”と呼ぶ快挙を男子では初めて達成する。

 9日のフリーは、平昌五輪で戴冠した「SEIMEI」。羽生が「ものすごく自分でいられる」と言うプログラムが、背中を押す。「(SPは)フィギュアスケートって楽しいなと思って滑ることができた。フリーは違ったストーリーのプログラムなので、また違ったフィギュアスケートをできたらいいな」。完璧な4分で再び世界に示す。羽生結弦が、羽生結弦であることを。

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