23年ラグビーW杯へ カギ握る合宿と新リーグ 選手層を厚くし、代表31人全員で高みへ

[ 2020年1月31日 09:00 ]

パナソニックのディーンズ監督(撮影・木村 揚輔)
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 トップリーグで開幕3連勝と好スタートを切ったパナソニックでは、控え選手(リザーブ)のことを「MAD」と呼ぶ。「Make A Difference」、すなわち「違いを生み出す」「改善する」などの意味を持つ言葉の頭文字を取ったもので、「mad=発狂」の意味も兼ねるという。14年から指揮を執るロビー・ディーンズ監督が持ち込んだという呼称。先発15人だけでなく、1試合80分間を23人でどう組み立てるかに知恵を絞る、名将のポリシーに触れられる言葉だ。

 この手の呼称、実はそれほど珍しい例ではない。昨年のW杯で準優勝だったイングランド代表では「Finisher(フィニッシャー)」と呼ぶ。1点でも相手のスコアを上回り、フルタイムを迎えるにはどうすべきか。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチはニュージーランドとの準決勝後、「フィニッシャーを決めてから、先発15人を決めた。なぜなら一番重要なことだからだ」と語っている。同氏がディレクターを務めるサントリーでも、その呼称は踏襲されている。慶大では数シーズン前から、「Booster(ブースター=増幅器)」の呼称を使う。

 1月29日、次回W杯が行われる2023年末まで契約を更新した日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが会見を行った。その数日前、日本協会が会見内容として挙げた「19年W杯のレビュー」「今後の日本代表強化方針」「23年W杯へのロードマップ」は、残念ながら十分に語り尽くされたとは言えない。一方で21年にスタートする現行のトップリーグに代わる新リーグの開催時期については、7月と11月のテストマッチシーズンを挟む開催となる秋開幕に強い懸念を示し、本来イレギュラーである今季のように、年明けから春にかけての開催を要望した。

 前任者のエディー・ジョーンズ氏と違い、これまで代表ヘッドコーチとしての権限が及ばない事項に関しては、公の場で私見や希望を語るのを極力避けてきたジョセフHCである。過去4年間の代表強化は「集中強化(合宿)」と「スーパーラグビー」が両輪で、残念ではあるが「トップリーグ」は3番手の位置付けだった。サンウルブズが今シーズン限りでスーパーラグビーから除外される以上、今後はトップリーグ、あるいは21年から始まる新リーグを大きく育て、合宿開始から終戦まで250日を数えたW杯イヤーの昨年ほどではないにしても、集中強化は従前よりボリュームアップしなければならない。そうした思いがあるからこそ、禁を破って熱弁を振るったと想像する。

 23年W杯の目標をどこに置くのか。外的環境と試合日程が19年よりもはるかに劣化する一方、周囲からの期待は格段に上がることが容易に想像できる中、2大会連続の8強入りは簡単ではない。ジョセフHCは触れなかったが、リーチは大会後から「トップ4を見ると、入れ替えにも余裕があった。今後強くするには、選手層を厚くしないといけない」などとたびたび語っている。指揮官の思いも同じだろう。そのための、合宿と新リーグの両輪である。

 W杯で出場機会のなかった日本代表の5人は、「ONE TEAM」を象徴するストーリーの主人公になった。だが、日本が次のステージに上がるためには、5人もジャージーを着て輝く存在にならなければならない。80分間では23人、大会全期間では31人をフル活用し、より高みを目指す。5人が「MAD」になれば、23年はフランスから日本へ朗報が届けられるはずだ。(阿部 令)

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