朝乃山 新三役勝ち越し「通過点」八角理事長も期待、大関昇進「来年じゃないの」

[ 2019年11月20日 05:30 ]

大相撲九州場所10日目 ( 2019年11月19日    福岡国際センター )

新三役勝ち越しを決め笑顔で引き揚げる朝乃山(中央)
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 新小結の朝乃山が明生を寄り切り、10日目にして勝ち越しを決めた。優勝争いは1敗を堅持した横綱・白鵬と1差で、単独追走となった。上位陣に休場が相次ぐ中、今年夏場所で平幕優勝した25歳が奮闘。八角理事長(元横綱・北勝海)は早い出世を期待した。3敗は大関・貴景勝と平幕の正代、千代丸、輝の4人となった。

 場所前に掲げた「新三役で勝ち越し」を達成しても、朝乃山の表情は引き締まったままだった。「通過点だと思う。小結で勝ち越し、うれしいわけでもない。とりあえずホッとしています」。将来は協会の看板力士である横綱、大関を目指すだけに、無邪気に喜ぶ気にはならなかった。

 秋場所千秋楽で苦杯を喫した明生に完勝した。立ち合いで左上手をつかみ、右をねじ込む。得意の形で相手の右下手投げの揺さぶりにも体勢を崩さず、寄せきった。「慌てていたら投げを食らったかも。じっくり寄り切れて良かった」と内容には満足げだった。

 鋭い踏み込みを意識して下半身強化に励んだ。「軽め」という100~110キロの負荷でスクワットを10回×3セット。東京の部屋なら器具を使い、秋巡業や今場所前もジムを探して汗を流した。その成果は、仕切り線から少し離れた明生との距離を一気に詰めた、この日の取組にも表れていた。八角理事長は「踏み込んでいるから上手も速い。相手が分かっていても(朝乃山は左上手を)取れる」と称えた。さらに大関昇進について「来年じゃないの。それぐらい期待している」と話し、三役も通過点との見解を示した。 

 今年夏場所は平幕優勝。その経験があるだけに、優勝を争って後半戦に突入しても上手にリフレッシュしている。18日夜は“世界の王”ソフトバンクの王貞治球団会長も好んだ福岡市内の有名パスタ店で完熟トマトの逸品を大盛りで堪能。銭湯で温冷交代浴をし、疲れを癒やした。「これから2桁を目指して頑張ります」。平常心で白鵬を追い掛け、チャンスをうかがっている。

 ≪貴花田以来27年ぶり関脇以下年間最多勝≫この日、年間最多勝は関脇以下になることが確定した。単独首位の小結・朝乃山が52勝目を挙げ、横綱、大関陣でただ一人可能性があった横綱・白鵬が残り5日間を全勝しても51勝にとどまるため。年6場所制となった1958年以降で、関脇以下が最多勝力士になるのは60年の大鵬、92年の貴花田に続いて27年ぶり3度目。朝乃山を51勝の小結阿炎、50勝の関脇御嶽海らが追っている。最高位が小結以下の力士が最多勝に輝けば、58年以降で初めてとなる。

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2019年11月20日のニュース