朝乃山 三役唯一の全勝 高砂親方から指導受け意識「しっかり踏み込めた」

[ 2019年11月12日 05:30 ]

大相撲九州場所2日目 ( 2019年11月11日    福岡国際センター )

貴景勝(左)を攻める朝乃山
Photo By 共同

 朝乃山が貴景勝を上手出し投げで破り、2日目にして早くも三役以上で唯一の勝ちっ放しになった。白鵬、高安らに土がつき、関脇以上が総崩れ。1場所15日制が定着した49年夏場所以降、出場した横綱、大関、関脇が全て敗れる(不戦敗を除く)のは今年夏場所11日目以来2度目の大波乱。下克上ムードの中、朝乃山は3日目、白鵬に挑戦する。

 立ち合いに朝乃山の集中力が表れていた。身長で13センチ低い貴景勝と同等の膝の低さ。当たり勝って攻め込み、いなしにも動じなかった。得意の左上手を切られても再度つかみ、瞬時に投げを決めた。

 「しっかり踏み込めた。本当は寄り切るのがいいんだけどしっかり体が反応しました」

 取組後、報道陣に逆質問する言葉に、その意識が映っていた。「顎が上がってませんでしたか?」「背中は丸まってました?」。この日の朝稽古。師匠の高砂親方(元大関・朝潮)から「立ち合いに集中しろ。集中しないと勝てないよ」との指導を受けていた。敗戦後、無言だった貴景勝に対し、突き押し相撲の第一人者に踏み込めた充実感が言葉ににじんだ。

 鶴竜の休場で自身初の不戦勝となった前夜は、付け人2人と部屋近くの商店街で食事した。居酒屋、ステーキハウスをハシゴしたのに、注文したドリンクは「水です。九州は水がうまいので」と笑う。場所前からの禁酒を続行中で土俵への集中力を持続している。

 年間最多勝争いでも、単独トップの御嶽海が敗れたことで阿炎との3人が46勝で並んだ。三役以下が獲得すれば1960年の大鵬、92年の貴花田以来。将来の飛躍を暗示するデータにも「獲れたら獲れたです」と無関心を貫く。

 挑戦する白鵬とは上手投げに屈した名古屋場所以来の再戦。「負けてもいいので横綱を慌てさせる相撲を取りたい。何も考えず前に出るだけです」。雑念のない表情で言い切った。 

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