南ア12年ぶり世界一! 得意スクラムで圧倒 NZに並んだ最多3度目W杯制覇

[ 2019年11月3日 05:30 ]

ラグビーW杯2019 決勝   南アフリカ32-12イングランド ( 2019年11月2日    日産ス )

19年W杯で世界一となった南アフリカ。コリシ主将(中央)が ウェブ・エリス・カップを掲げ一斉にシャンパンファイトが始まる(撮影・篠原 岳夫)
Photo By スポニチ

 南アフリカがイングランドを32―12で破り、07年大会以来12年ぶり、ニュージーランドに並び史上最多となる3度目のW杯制覇を果たした。強力スクラムで圧倒してPGで得点を重ね、後半の2トライで突き放した。決勝の観衆7万103人は02年サッカーW杯決勝を超える日産スタジアム史上最多で、アジア初開催のW杯日本大会は大成功で幕を閉じた。次回の23年W杯はフランスで行われる。

 ウェブ・エリス杯を南アフリカ初の黒人主将が掲げた。背番号は95年の初優勝時に故マンデラ大統領がまとっていたジャージーと同じ「6」。「我々にはさまざまなバックグラウンドがあり、人種がいる。そして一緒にゴールにたどり着いた。素晴らしい日になった」。コリシ主将は喜びをかみしめた。

 予想を覆す快勝だった。スクラムでイングランドから計6個の反則を誘い、うち3本をPGによる得点につなげた。ディフェンスは相手の30次攻撃もはね返し、95、07年大会に続き決勝でノートライを記録。そして準々決勝の日本戦から導入した、通常より1人多いFW6人のリザーブが威力を発揮。前半21分に先発フッカーのムボナンビとロックのデヤハーが負傷交代しても戦力は落ちなかった。「早い段階で2人傷んだが、計画通り試合を進められた」とコリシ主将は話した。

 15年W杯で日本に歴史的な敗戦。16年にはイタリアにも初白星を献上し、17年には宿敵ニュージーランドに0―57と惨敗して世界ランクは8位に沈んだ。斜陽の強豪を立て直したのが、強化担当と兼任で18年3月に就任したエラスムス監督。徹底した対話路線で選手や所属チームと信頼関係を築き、セットプレーと堅守の伝統を徹底した上で、速くプレッシャーをかけるディフェンスを導入した。「SNSに夢中だった選手たちに“みんな給料でチケットを買ってくれている。ピッチでしっかりやろう”と言ってくれた。考え方そのものが変わった」とコリシ主将は明かした。

 「誰か1人でなく、全員の前で正直に話してくれる」(SHデクラーク)指揮官の下、チームは今年の南半球4カ国対抗で初優勝。W杯では初戦でニュージーランドに敗れたものの、コーチ陣は選手への指示をよりシンプルにしてプレッシャーを和らげ、1戦ずつ改善を求めて優勝へ導いた。「政治の課題や殺人事件、我々の国は問題がたくさんある。でも、ラグビーで国民に幸せをもたらしたかった。選手が諦めずにやってくれた」とエラスムス監督。95年の初優勝時は代表チームに1人だけだった非白人選手は、今や10人以上。本当の「ONE TEAM」が南アフリカに誇りを取り戻した。



《1次リーグ黒星&2位通過で史上初》 南アフリカが12年ぶりのW杯優勝。前回優勝の07年も95年以来12年ぶりだった。W杯決勝は3戦全勝で勝率100%。決勝で負けていないチームは南アだけ。3度の優勝はニュージーランドと並ぶ最多タイ。

 1次リーグで敗れたチームが優勝したのは史上初。今大会初戦でニュージーランドに13―23で敗れていた。また、1次リーグ2位通過で優勝したのも初。

 南アは2トライ。過去優勝した95、07年大会の決勝はいずれもPGとDGによる得点で、トライはチーム初。3度の決勝ではいずれも相手をノートライに抑えている。
 

続きを表示

この記事のフォト

2019年11月3日のニュース