警察24時ならぬゴルフ24時? ツアー中の選手の素顔映像が大人気 再生回数は脅威の1億5000万超

[ 2019年10月18日 05:30 ]

JGTOが手掛ける動画コンテンツ

 男子ツアーへの注目がネットメディアで高まっている。日本ゴルフツアー機構(JGTO)が、スポーツ総合サイトのスポーツナビ(スポナビ)に4月からアップを始めた動画の再生回数が、サービス開始からわずか5カ月で累計1億回の大台を突破した。試合数を考慮すると、他のスポーツと比べても異例のスピード到達。ファンの関心は試合ごとに熱気を帯びている。JGTOはこの大反響を男子ゴルフの人気回復につなげたい考えだ。

 JGTOがスポナビにアップしているのは、トーナメントに出場している選手の映像。スタートホールのティーショットやホールアウト後の様子などに加え練習場でのライブ映像も制作。トーナメントの開幕前日から最終日まで毎日4、5本の動画を配信している。

 最近ではANAオープンのディフェンディング王者の池田勇太の映像が評判になった。開幕に向けた映像を制作する際に池田から「(テレビで人気の)警察24時間みたいな感じで撮ってほしい」とのリクエストがあり、開催地の北海道・千歳空港に到着してから会場に入るまでの様子をドキュメント風に撮影。よくある大会前のインタビュー映像とは異なる凝った作りがファンの注目を集めた。

 JGTOはこうした動画を4月の開幕戦・東建ホームメイトカップからスポナビにアップ。すると、すぐに話題になり再生回数がうなぎ上りに増えた。その数は1試合で1000万回を超え、10試合目となる8月のRIZAP・KBCオーガスタではついに1億回を突破した。

 スポナビ企画部の渡邊嶺氏は「男子ゴルフの1本当たりの再生回数はだいたい40万くらいです。これは野球やサッカーと比べても飛び抜けて多い。プロ野球だと平均で20~30万ですから」と驚きを隠せない。その人気の背景にあるのがスポナビの環境だ。プロ野球やJリーグの映像はスポナビ以外の動画サイトにもアップされるが、JGTOが集中的に配信しているのはスポナビだけ。また渡邊氏によれば、利用するユーザーは30~60歳の層が厚いことからゴルフに関心を持つ人が多いという。

 また、日本最大のポータルサイトのヤフーにリンクするブランド力もユーザーを呼び込む“誘い水”になっている。昨年までヤフーは競技団体が配信する情報の掲載を制限していたが、今年から緩和。そのタイミングでJGTOとスポナビが協力を始めたことで、一気にアクセスの間口が広がった。

 もちろん、JGTOの地道な努力も見逃せない。シーズン開幕前に、制作スタッフを増員し対応を強化。選手の要望を聞きながら池田の時の映像のように、手の込んだものを制作。配信時間もアクセスの多い朝の通勤時間帯にアップするなど工夫した。そうした日々の積み重ねが驚異的な再生回数を実現。10月のトップ東海クラシック終了時点での再生回数は累計で1億5335万8417回まで伸び、年内の2億回突破も視野に入ってきた。

 そもそもJGTOがこうした取り組みを始めたのは、選手会の希望があったからだ。以前からフェイスブックやインスタグラムにも動画をアップしていたが、選手会から「もっといろいろな人たちにわれわれの映像を見てもらいたい」と提案され担当者が動いた。JGTOの田中謙治広報担当部長は「SNSは平均で1万くらいでしたので、この数字には本当に驚いています。今後も動画を通して選手の素の部分を見てもらうことで、選手を応援してくれるファンを少しでも増やしていければと思っています」と意気込みを語っていた。

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