【高野進の目】サニブラウン、失敗なければ決勝に残る力あった

[ 2019年9月30日 06:15 ]

陸上世界選手権第2日  男子100メートル準決勝 ( 2019年9月28日    ドーハ・ハリファ国際競技場 )

<高野進の目>陸上の高野進
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 サニブラウンはスタートで全てが決まってしまった。他の7人はちゃんと反応しているので、集中のポイントが音ではないところにあったのでは。本来であればわずかな音にも体が自動的に反応するところ。今年はスタートを課題に工夫してきた分、確実に出ようという意識が逆に音への反応を鈍らせてしまったのではないか。

 力的には2着に入れたが、今回のような失敗レースで巻き返すには9秒8台の力がないと難しい。トップスピード、加速局面では同じ組のファイナリストと差はなかっただけに悔やまれる。追い上げはさすがだったが、前半力んだ分だけ後半はやや伸び切らなかった。来年この失敗をしないために、完成形をつくる必要がある。

 日本の3人はともに安定性ではまだまだ。世界の舞台でがっぷり四つで戦う強さは課題。ただサニブラウンは失敗がなければ決勝に残った可能性があり、桐生も肉薄した。負けてしまったが逆戻りしたわけではなく、確実に前進している。(男子400メートル日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

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2019年9月30日のニュース