柏原 涙の初V「最高の瞬間」 4年前のトラウマ克服、6年目やっと

[ 2019年9月30日 05:30 ]

女子ゴルフツアー ミヤギテレビ杯ダンロップ女子 最終日 ( 2019年9月29日    宮城県 利府GC=6505ヤード、パー72 )

ツアー初優勝の柏原は青空を背にバンザイ(撮影・沢田 明徳)
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 2打差の4位から出た、プロ6年目の柏原明日架(23=富士通)が7バーディー、3ボギーの68で回り、通算10アンダーで2位に2打差をつけてツアー初優勝を果たした。畑岡奈紗(20=森ビル)は3位から74とスコアを落とし通算5アンダーで7位。2週連続優勝を目指した渋野日向子(20=RSK山陽放送)は通算イーブンで22位だった。

 約1・5メートルのウイニングパットがカップに収まる前に、柏原は既に右手でガッツポーズをつくっていた。表彰式では目を真っ赤にさせ「時間はかかったけど、今まで生きてきた中で本当に最高の瞬間だった。ギャラリーの方、そして両親に感謝です」。マネジャーとして常に同行してくれた母・友美さん(47)も感極まった。「長かったです」と愛娘のラッキーカラーである赤のハンカチで顔を拭った。

 2位に4打差で迎えた15番で勝利を確信したという。左に池があるショートホール。4年前の悪夢がよぎった。15年の日本女子オープン。首位で迎えた最終日の17番(パー3)でグリーン左の池に入れて痛恨のトリプルボギーとし、優勝を逃した。以来、トラウマとなり左に池があるパー3では体が過剰に反応して思うようなショットが打てなくなった。「忘れたくても忘れられない試合」。だが、「ここで弱い自分を変えないとこの先も勝てない」と集中力を一気に高めた。71での第1打はグリーン左奥にこぼれたがピンに向かって打った。「前向きにトライできた」と初Vへの重圧を振り払った。

 苦しい試合が続いた今季、同郷の先輩、大山志保の一言が支えになった。「1勝目の早さではない。やめる時に何勝したかを考えた方がいい」とアドバイスされ吹っ切れた。

 悲願の初優勝で目標だったTOTOジャパンクラシック(スポニチ主催)と地元・宮崎が舞台となる最終戦「ツアー選手権リコー杯」の出場も決めた。「早く2勝目を挙げられるよう頑張りたい」。未来への懸け橋は、より強固なものとなった。

 【勝者のクラブ】▼1W=キャロウェイ・エピックフラッシュ サブゼロ(ロフト角10・5度、シャフトの長さ45・75インチ、硬さS)▼4、7、9、11W=キャロウェイ・ローグ(17、21、23、25度)▼6I~PW=キャロウェイ・エイペックス▼ウエッジ=キャロウェイ・マックダディー フォージド(48、52、56度)▼パター=オデッセイ・オーワークス 2ボール(マレット型)▼ボール=キャロウェイ・クロムソフトX

 ◆柏原 明日架(かしわばら・あすか)
 ☆生年月日 1996年(平8)1月30日生まれ、宮崎県宮崎市出身の23歳。
 ☆サイズ 1メートル71、63キロ。
 ☆ゴルフ歴 父の勧めで7歳からゴルフを始める。中学3年でスポニチ主催の全国中学校ゴルフ選手権春季大会で優勝。日本女子アマ選手権2位など注目を集めた。
 ☆世界で活躍 2011年にはJGAナショナルチームに選出され、13年の「ネイバーズトロフィーチーム選手権」では堀琴音、森田遥らとのチームで団体戦優勝。12年には、男女混合で16歳以下の世界一を争う「ジュニアオープン選手権(英国)」で初優勝。
 ☆プロ入り 14年にプロテスト合格(86期生)。15年には3度のトップ10入りで賞金ランク50位となり初シードを獲得した。
 ☆家族 両親と弟(6)。
 ☆趣味 写真。

 《15年日本女子オープン最終日VTR》首位に1打差の2位から出た柏原は16番まで3バーディー、3ボギーで回り、首位に立っていた。だが、17番パー3で8Iでの第1打を左の池に入れると、3打目でグリーンに乗せながら、そこから3パット。痛恨のトリプルボギーを叩いた。結局、優勝した田仁智(チョンインジ、韓国)に2打及ばず通算イーブンで4位に終わった。

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