日程恵まれている日本代表 最大に生かしたい準備期間のメリット

[ 2019年9月25日 10:28 ]

日本代表練習のウエートトレーニングする松島(中央)ら(撮影・久冨木 修) 
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 1点差ながら前半はリードして折り返し、後半開始直後に逆転された後も、すぐさまドロップゴールで1点差に迫った。が、抵抗できたのはここまで。その後は足が止まって4トライを許し、ロシアは結局、2大会ぶりのW杯で開幕2連敗となった。

 20日の開幕・日本戦からわずか中3日。しかも1番から23番まで、日本戦と全く同一メンバーでW杯初戦のサモアに挑んだロシア。ケガ人も出ず、2戦連続でベストメンバーが組めたと言えば聞こえはいいが、選手層や連係面など、同じ23人を組まざるを得なかった事情の方が色濃くにじみ出た。

 初戦から中3日でW杯初戦のチームと第2戦を戦うのは、4年前の日本と全く同条件だ。もはや公然の事実だが、ラグビーの世界では伝統国、強豪国が優遇されている。国際統括団体ワールドラグビー(WR)は是正を目指し、今大会では世界ランキング1位のニュージーランドやイングランドも中3日の試合を組まれている。だが5チーム1組という奇数のプール戦も相まって、完全に各チームが同条件の下で試合を戦える条件を整えるのは不可能に近い。

 そんな中で今大会ホスト国の日本には、これ以上のない好条件が整えられている。開幕ロシア戦から第2戦のアイルランド戦までは中7日。中6日でサモア戦を迎えた後、再び中7日でスコットランドと対戦する。17年11月2日に日程と会場が発表された際、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチも「非常に恵まれた日程だと思う」と感想を述べている。

 週末を中心に開催されるトップリーグでは、例えば土曜日に試合があったチームの翌週のゲームが金曜日(中5日)だと、「ショートウィーク」と呼ばれる。昨季までサントリーの監督を務めた沢木敬介氏が好んで使っていた言葉だが、1日の違いは、実際にどれほどの差を生むのか。

 中6日の場合、試合翌日はリカバリーに当て、試合前日がコンディション重視の調整の場とすれば、実質的な準備期間は4日間。これが中6日なら1日減り、中5日ならさらに1日減り、となる。他競技以上に戦術の落とし込みや選手間の連係が重要視されるラグビーで、1日の違いが与える影響は明白だろう。W杯のように2年前から日程や対戦国が決まっている大会であっても同じこと。だからこそ日本は、そのメリットを最大に生かしたい。

 28日に日本と対戦するアイルランドは、22日のスコットランド戦から中5日で試合を迎える。日本代表のSH田中(パナソニック)は「中5日はそんなに短いものではない。(リカバリーなどに)関係ないと思います」と述べ、試合間隔の影響はないとした。選手自身が警戒レベルを落とさぬように、そのような考えでいるのはいいこと。それでも試合間隔が2日長いメリットを生かしてほしいと思う。(阿部 令)

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2019年9月25日のニュース