松島3トライ 日本8強前進!初「勝ち点5」 歴史的開幕1勝!ロシア4T逆転

[ 2019年9月21日 05:30 ]

ラグビーW杯1次リーグA組   日本30―10ロシア ( 2019年9月20日    味スタ )

<日本・ロシア>後半、タックルをかわし、W杯日本最多となる、この日3つ目のトライを奪う松島(撮影・篠原岳夫)
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 開催国の日本はロシアを30―10で破り、初の8強進出へ好スタートを切った。4万5745人の大観衆の前で、WTB松島幸太朗(26=サントリー)が日本代表のW杯通算60個目を含む、宣言通りのハットトリックで勝利に貢献。リーチ・マイケル主将(30=東芝)を中心に束ねられた「ONE TEAM」は4トライを奪い、ボーナス点の1を含む勝ち点5を獲得した。次戦は28日に、世界ランキング1位のアイルランドと対戦する。

 ジャパンの右サイドが、松島の聖域と化した。前半11分と38分に右隅で受け、2トライ。一気に逆転に成功すると、23―10の後半28分に待望の瞬間が待っていた。相手のキック処理のミスを右に展開して受けると、トップギアに入った。1人外し、30メートル走りきってトライ。W杯での1試合3トライは日本代表での1試合最多記録の快挙となった。「(3Tが)代表では初めてなのでうれしい。最初から楽しめていた」。自身2度目の大舞台で勝利への道をつくった。

 有言実行だ。大会前の練習中、サントリーで同僚のCTB中村が「1トライする」とカマをかけた。すると松島は返答した。「じゃあ、俺は3トライ取る」。さらりと言った目標を中村が会見で暴露したことで明確なものになり、あっさり達成してみせた。松島は「中村亮土が言わなかったらできなかったので、ハットトリックを意識しながらできた」と振り返り、中村も「あいつ、持ってます」と笑った。

 前半34分の右手一本のトライはTMO(ビデオ判定)でノックオンとなり、4トライとはならなかった。それでも、ボーナス点獲得の立役者となるハットトリックだ。本職はフルバックだが、快足を買われて右WTBに。「トライを取るのが僕の仕事」と言う松島に、ジョセフHCは「外からフェラーリが飛んでくるようなもの」と賛辞を贈った。

 ジンバブエ人の父を持つ韋駄天(いだてん)だ。桐蔭学園高時代の10年度の全国高校大会準決勝。花園で100メートル独走トライを挙げ、将来を嘱望される存在となった。高校卒業後は大学を経由せず、南アフリカのシャークスアカデミーへ武者修行に行った。「しっかり成長できるところで、頑張って」。もの静かな男は、母・多恵子さんの言葉に何度も励まされた。屈強な相手と対峙(たいじ)し続け、南アの20歳以下代表の候補にも挙がった。悩みながらも、桜のジャージーを選択。前回大会に続いて勝利に貢献し「前回が生きて、周りを見ることができた」と語った。

 W杯通算4トライは朽木英次に並んで日本代表最多タイ。記録更新は射程圏だ。「できる限りトライを取れるように。外にチャンスがどんどん来ると思うので、仕留めたい」。次戦は強敵アイルランド。松島の快走が、金星への突破口となる。

 《W杯日本個人最多の松島3トライ》松島の3トライは日本代表のW杯1試合最多トライ。これまでは朽木英次(87年大会オーストラリア戦、91年大会ジンバブエ戦)らの2つが最多。また、前回大会と合わせて通算4トライとし、日本人のW杯通算トライ数で朽木と並び最多タイとした。日本代表は過去8大会で計59トライを奪っており、この日の松島の最初のトライが60トライ目。松島は61、63トライと積み重ねた。

 ◆松島 幸太朗(まつしま・こうたろう)1993年(平5)2月26日生まれ、南アフリカ出身の26歳。6歳でラグビーを始め、桐蔭学園高で全国制覇。シャークスアカデミーから14年サントリー加入。15年W杯イングランド大会メンバー。代表35キャップ。愛称は「マツ」。1メートル78、88キロ。

 ▽大会方式 5チームずつ4組に分かれて1次リーグを行い、各組2位までが決勝トーナメントへ進出。勝ち点(勝ち4、引き分け2、負け0、7点差以内の負けと勝敗にかかわらず1試合4トライ以上で1)で順位を決定し、同勝ち点は(1)当該対戦(2)総得失点差(3)得失トライ数差(4)総得点(5)総トライ数の順で決める。全て同じなら10月14日時点の世界ランキングに基づいて上位を決定。決勝トーナメントではフルタイムで同点の場合、(1)10分ハーフの延長戦(2)サドンデス方式の再延長戦(3)プレースキックを蹴り合う「キッキングコンペティション」の順で勝敗を決める。

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