【上水研一朗の目】「担げる選手」影浦 全試合一本勝ちで存在感

[ 2019年9月2日 08:34 ]

男女混合団体戦決勝、延長戦の末に勝った影浦(左)(撮影・会津 智海)
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 日本の個人戦の金メダルの数は前回、前々回の7個に対して、今大会は4個。減少した理由の一つは海外勢のレベルアップだろう。特に、強豪国の2番手選手の頑張りは、各国も五輪代表争いが佳境を迎えたことを感じさせた。例えば男子60キロ級決勝は、ともに海外国の2番手と目された選手同士だった。

 しかし、日本は悲観ばかりする必要はないと思われる。課題とされてきた男子重量級で90キロ級は銅から銀、100キロ級は5位から銅、そして100キロ超級は銅から銀と、前年より成績を向上させているのが好例で、他国と同様、レベルアップしている。また、最終日の団体戦では100キロ超級の影浦が3試合オール一本勝ちし「担げる選手」として存在感を示した。66キロ級の丸山、73キロ級の大野と圧倒的な強さを見せてくれた王者も出た。これまでの強化を進めながら、五輪では60キロ級を含めた軽量3階級で2個以上の金メダルを獲り、中量級以上で上積みを狙いたい。

 女子は70キロ級で3連覇を狙った新井を筆頭に、前年までの女王が研究されて苦しんだ。だが、冷静に見れば、寝技のレベルアップは著しく、ほぼ全代表選手が寝技で一本を取り切った。つまり、柔道の幅は広がっている。今大会で出た課題をクリアし、さらに柔道の「引き出し」を増やしていけば、全階級優勝争いができると思う。

 今後、日本が注意しなければならないことは、代表選考過程で「適度」ではなく「過度」の競争が生まれることだろう。国内の代表争いにフォーカスし過ぎると、五輪本番で戦うべき海外選手の対策が遅れるだけでなく、心身の疲弊も招く。今年のGS大阪以降の結果次第で順次、内定選手も出てくるはず。強化サイドには冷静で論理的な決断をしてほしい。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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