【上水研一朗の目】大野「一部の隙もない」次元が違う王者

[ 2019年8月28日 08:18 ]

柔道世界選手権第3日 ( 2019年8月27日    東京・日本武道館 )

男子73キロ級、決勝、一本勝ちで優勝を決める大野(右)(撮影・会津 智海)
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 【上水研一朗の目】この日の大野の柔道を短く評せば「次元が違う」といったところだ。決勝でオルジョフから一本を奪った内股は、右の釣り手(襟を持つ)と左の引き手(袖を持つ)の強さで相手を極めてしまい、あとは脚を跳ね上げるだけだった。シドニー五輪決勝で井上康生が見せた、あの伝説の内股を想起させた。

 王者は世界中から研究され、苦しむのが常だ。60キロ級の高藤しかり、66キロ級の阿部一しかり。しかし大野は、それを軽く乗り越えた。準々決勝の十字固め、準決勝の巴投げと新たな武器を繰り出したように、柔道の幅をどんどん広げる。だから、追いかける方からすれば「一分の隙もない」と感じてしまう。

 ライバルは大野に指導が与えられるような工夫をしてくるかもしれない。だが、精神的にも安定している大野は、試合を決する3度目の指導までに投げてしまうだろう。日本柔道の柱であり、最も金メダルに近い選手。敵はコンディションだけと言い切りたいほど、文句のつけようがない強さだった。

 一方、芳田は連覇こそ逃したが、進化は見せてくれた。体調の問題か立ち技は万全ではないように見えたが、バリエーションを増やした寝技も駆使して決勝まで進出したことは評価できる。高校時代から対戦してきた出口との決勝も寝技に勝機があったと思うが、決めきれなかったのは残念だった。来年に向け、もう一度コンディションを整えて戦って欲しい。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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