稲見 涙の初V!10代ラストホールで劇的バーディー決着

[ 2019年7月29日 05:30 ]

女子ゴルフツアー センチュリー21レディース最終日 ( 2019年7月28日    埼玉県比企郡鳩山町 石坂GC=6470ヤード、パー72 )

センチュリー21レディース最終日 18番、バーディーを決め初優勝を飾った稲見はガッツポーズ(撮影・西尾 大助)
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 黄金世代とミレニアム世代に挟まれた“谷間の世代”稲見萌寧(都築電気)が、10代最後の日にツアー初優勝を飾った。首位で出て一時は順位を落とすが、最終18番で会心のバーディー。70の通算9アンダーで抜け出し、29日の誕生日を前に劇的なフィナーレを演出した。青木瀬令奈(26=三和シヤッター工業)とイ・ナリ(31=韓国)が1打差の2位に続いた。

 初Vが懸かった最終18番の3メートルのバーディーパット。稲見はアドレスに入る前に、1年前のプロテスト最終日の、18番のバーディーパットを思い出していた。同じように、決めれば合格というゴルフ人生を懸けた一打。「同じ距離のスライスライン。あれに比べたらこのプレッシャーは余裕。大丈夫、大丈夫」。そう心の中で唱え、カップにねじ込むと思い切り右手を天に突き上げた。「地面からうれしさがこみ上げてくる感じでした。やり切ったなと」。笑顔はすぐに涙に包まれた。

 中1の時に都心の池袋から練習施設に恵まれた千葉県四街道市に家族と引っ越し。高校を卒業するまでの6年間、一日も休まず練習場に通った。「毎日10時間、インフルエンザになっても練習していました。プロになってからも一日も休まず練習しています」と父・了(さとる)さん(41)は明かす。「世界一になるには、世界一練習しないといけない」と稲見。その努力が、窮地に追い込まれてからの勝負強さにつながった。

 谷間の世代で一番乗りのツアーVを目指していたが、2週前のニッポンハム・レディースで同い年のS・ランクン(タイ)が優勝。「1歳上の(小祝)さくらちゃんも勝ったし、負けたくないというのはありました。はざま(谷間)の世代のダイヤモンドになりたい」と同年代の活躍が発奮材料になっていた。29日は20歳の誕生日。「自分のプレゼントに、これほど最高なものはない。みんなの印象に残るなって必死で…」。世代交代が進む女子ゴルフ界にまた一人、楽しみなヒロインが生まれた。

 【稲見 萌寧(いなみ・もね)】
 ☆生まれ 1999年(平11)7月29日生まれ、東京都豊島区出身。
 ☆サイズと血液型 1メートル66、58キロ。A型。
 ☆ゴルフ歴 9歳で始める。父・了さんが練習場に連れていった時に1回も空振りをしなかったのを見て「シニアのレッスンプロをつけました」。14年関東中学選手権春季大会、15年東日本女子パブリックアマで優勝。
 ☆習い事 習字。了さんは「字がうまければ賢く見えますから」と説明。
 ☆個性的な名前 母・直子さん(39)が名付けた。「寧にはやさしいという意味があるので、やさしい子になってほしいと願ってお母さんがつけてくれました」
 ☆拠点 池田勇太や市原弘大らがジュニア時代に腕を磨いた千葉市の北谷津ゴルフガーデンで練習。
 ☆コーチ 奥島誠昭プロ。
 ☆学校 豊島区・池袋第2小、千葉市・千城台南中、通信制の日本ウェルネス高、日本ウェルネススポーツ大学在学中。

 【勝者のクラブ】▼1W=キャロウェイ・エピックフラッシュ(ロフト角10・5度、シャフトの硬さX、長さ45インチ)▼3、5W=同(15、18度)▼4、5U=テーラーメイド・グローレF▼5I~PW=テーラーメイドP770▼ウエッジ=タイトリスト・ボーケイ(52、58度)▼パター=オデッセイOワークス▼ボール=キャロウェイ・クロムソフトX

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